「夜の呪文」
作・ぱせり様





「俺だって眠い」

……なんて台詞を声に出しては言ったりしないのは、単なるやせ我慢、いや、男のプライドみたいなものか。
しかしそろそろ十分な睡眠を確保しないと、あの鋭すぎる秘書殿にどんなツッコミをされるか、分かったもんじゃない。

込み上げるあくびを必死で噛殺す。

まったく……最近のガキは何考えてるんだ!!
19歳のヒヨッ子の分際で男と同棲してるのが発覚した上に、妊娠だと?
おかげで深夜まで対策を練らなければならないじゃないか。相手の男は芸能界から抹殺してやる!
 ……と簡単にいかないのは相手もうちのタレントだからで、溜息も怒りも2倍だな訳だ。
さて本当にあいつらどうしてくれようか……

物騒な流れになってきた会議の途中で、懷の携帯が振動する。

彼女からのメールだ。
『先に寝ま〜す。お仕事頑張って下さいね』
……一瞬でささくれ立った心が癒される。

おまえら感謝しろよ……この俺が大岡越前をやってやるんだ。

まぁ、早く帰りたかったというのが本音だがな。


辛うじて日付けが変わる直前。明かりの消えたリビングは、もうとっくに人の気配はなかった。
そのままバスルームに直行して手早くシャワーを浴びる。
ドライヤーで髪を乾かす手間すらもどかしい。
急ぐあまり寝室のドアを開ける手付きが乱暴になって、大きな音が響いてしまった。
けれども先に寝ている同居人は、滅多な事では目を覚まさない寝坊助だから大丈夫。
ほら、ピクリとも動かず、安らかな吐息をたてている。
「ただいま、マヤ」
華奢なからだを抱きしめながら、そっと耳元で囁く。
唇に、触れるだけの優しいキスをする。

ほのかに香るのは……カルーアミルクか……

酒の選択まで、甘い物好きの彼女らしい。
さほどアルコールに強くはない彼女が珍しく寝酒をするとは、余程眠りに飢えていたとみえる。
そして、これは「起こすな」というアピールだ。

そろそろ十分な睡眠がお互い必要な事は分かっている。

分かっている。

でもな、疲れている時ほどどうしようもなく欲しくなるんだ。
柔らかな肌を。
熱い吐息を……

本能に従おうとする指先を、まだ残る理性が歯止めをかける。
そうだ、このまま本能に流されてしまうというのでは、あの中出しバカップルと同じではないか?
そういえばあのアイドルと彼女はそう大して歳は変わらない事を思い出す。というか、見た目ではこっちの方が子供……

沸き上がる微かな罪悪感。

今夜はあのバカどものおかげで、いい感じにブレーキがききそう……

「……ん、速水さん……もっと……」

薄明かりに浮かぶ小さな唇が紡ぎ出した言葉は、理性など一瞬で吹き飛ばす、強烈な、

呪文。

寝言だ?
そんなこと知るか!!

さて、今夜の彼女を起こすのはいつもより難儀しそうだが、それもまた一興……
柔らかな素肌の上を指先が彷徨い出す。

官能のスイッチを求めて。

==END==












「スイッチ」
作・ぱせり様








滑らかな肌。
贅肉のない脇腹を、すいっと指で撫で上げる。
ピクリと反応する華奢なカラダ。
目蓋はまだ堅く閉じたまま、眉間を微かに震わせて。

素直なきみらしく、どこもかしこも敏感だ。

小さな体からは想像出来ないほどの、確かな質量。
形の良い双丘に力を加える。
とろけるほど柔らかい肉の感触に、目眩がする。
頂上の突起を潰すように摘み、指先で弾く。

「んっ……」

湿った吐息が唇の隙間から零れる頃合いを見計らって、キスをする。
始めはソフトに、優しく……
段々深く口付ける。
小さく開いた隙間から舌を差し入れて、中を存分に味わう。
柔らかな粘膜が……熱い。

閉ざした目蓋は、まだ堅く結ばれている。

一方的な蹂躙に、抵抗もない。

「マヤ……」
甘い囁きと共に、耳朶を甘噛みする。
「はぁ……ん……」
周囲をぐるりと舐めあげる。
「あ……いやぁ…っ……」
「マヤ」
「……ヤ…ダ……ねむ…い……」

いつもならこの辺りで陥落なのだが……
アルコールはまだ威力を保っているか。

指は彷徨う。
薄布の隙間をぬい、豊かな茂みを抜け……
一番敏感な場所を目指して。
「もう、こんなになってる……」
「……い…いやぁ……」
まだ眠りの中ででも、淫らなカラダ。
何度肌を重ねても、永遠に飽きる事はない。

「そろそろ観念しないか?」
眉間に強く寄せた皺が、抵抗を示す。
素直だけど強情なきみ。
それもまたかわいい。

溢れ出た粘液を花芽に塗り、ぐるりと周囲を撫で付ける。
まだ、そこには触ってやらない。
荒くなる吐息を自らの腕に押し付け、堪えるきみ。
存分に声を上げて啼いたら、欲しいものをあげるのに。

一番長い指を滑り込ませる。
締め付ける熱い襞。
その感覚。
堪らない。

体中の血液が凝縮する。

早く。

早く。
啼いてごらんよ。

「今夜は……ダメか?」
苦しい囁きと共に、指を引き抜く。

「あ………」

目蓋が震える。
大きな瞳は涙で潤んでいる。

「……ヤダ……イジワル……!」
「何が?」


「ね……速水さん…もっと……」







==END==




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