夏の誘い


55555番ゲット・綾さまリクエスト今回マヤちゃんには悪いけど、病気になっていただきます。
  真澄様の目の前で無邪気に遊ぶマヤが突然フラフラ〜と倒れこんで、真澄様ったらそんなマヤちゃんに色気を感じちゃって、
  マヤちゃんが苦しんでるってーのに・・・。いけ〜!がんばれ〜!しゃちょー!(←みんなの声)っていうシチュエーション、
  かなり濃い地上で、お願いします。



  猛暑、と宣言の出たその夏の盛り、真澄は水城に「賜暇」を手配させ、週末の土日をマヤと過ごそうと、スケジュールを確保した。
 マヤがちょうど舞台と舞台の間で、次の稽古に入るスケジュールの谷間だったからである。

  前日、真澄はマヤを社の応接室に呼び出して、打ち合わせをした。
 「何処に行きたい?」
 真澄はマヤに尋ねた。
 「う〜ん、山もいいけど、やっぱり海、かなぁ、…、海がいいわ!」
 「日焼けは禁物だぞ。」
 「分かってる。でも海なんて、あたし遊びで泳ぎに行ったことなんて、無いの。」
 「ね、伊豆の別荘がいいわ。海に連れて行って!ねえ、速水さん…。」
 斜め下から、甘い媚びを含んだ眸(め)で見あげられて、真澄は一瞬、内心たじろぐ。が、照れ隠しに言って誤魔化した。
 「真鶴に、いいリゾートのホテルがある。ジャグジーにサウナもプールもあって、夜はフランス料理がフルコースだ。“ラ・シェネガ”。いいところだが?」
 「…ううん、…ふたりだけの方がいい。」
 その率直なマヤの素直な物言いに、真澄の胸は音を立てて締めつけられた。
 また、それを自ら誤魔化して苦笑いし、真澄は照れ隠しをする。
 「ホテルの方が面倒が無くていいんだがな…。」
 確かに、真澄の伊豆の別荘は、土地続きでプライベートビーチに連なっている。そこで、ふたりきりで、と、マヤは言っているのだ。
 一瞬、真澄はその光景に想像を巡らせる。
 さすがに、滅多に無い機会だ。いいかもしれない…。
 ひとしきり騒ぐ胸のざわつきを抑えて、真澄は言った。
 「…いいだろう。じゃあ、明日、夜明けには出発するから、支度していてくれ。迎えに行く。寝坊するんじゃないぞ?」
 「ホント?嬉しい!」
 マヤの華やぐ笑顔。それは純な、あどけない子どものようでいて、すっかり大人の女の色香を漂わす。
 そのふたつが交錯する、今のマヤの生気溢れる華。
 他ならぬ真澄が、マヤをそのように育んできた。だがいざ、それに面と向かうと、真澄はひたすらに心騒ぐのだ。
 「じゃ、あたしこれから買い物に行くわ。水着でしょ、日焼け止めでしょ、ビーチマットに、浮き輪もいるかしら。速水さん、水着持ってるの?」
 言って、マヤはクスクスと真から楽しげに笑い出す。
 「…俺の分はご心配なく。」
 これも照れ隠しに、憮然と言って真澄は背を向けた。煙草を揉み消すと、振り返ってマヤに声をかけた。
 「今夜は早寝するんだぞ。」
 「はぁい、判りました!じゃ、明日、朝、ね。待ってます!」
 マヤは笑って、ウキウキと、大都芸能をあとにした。


   明朝、夜明け近く。マヤのマンションの下で、真澄は車を停めた。
 部屋まで、マヤを迎えに行く。インタフォンを鳴らすと、待ってましたとばかりに、マヤの声。
 「はい、今行きまぁす!」
 マヤが、大きな荷物にクーラーボックスを引きずって、玄関から出てきた。真澄は面食らう。
 「何だ?海外旅行じゃないんだぞ?」
 「だって。つい色々買っちゃったの。デパートのリゾート品売り場って、凄いのね。」
 マヤは笑っている。初めて、海に泳ぎに出かける、というのだから、無理からぬ話だろうが…。
 「まあ、とにかく貸しなさい。行くぞ。」
 真澄はマヤの荷物を両肩に背負って、車のトランクに向かった。
 早朝。熱帯夜明けだが、まだ凌ぎやすい空気。時刻、午前4時過ぎ。空が白々と明るい。
 真澄のBMWにふたりは乗り込み、渋谷から入って早朝の首都高を真澄は軽快に飛ばしていく。
 やがて、夜明け。東名高速に真夏の陽差しがギラギラと照り出す。
 真澄は陽差しのきつさに、マヤに注意を促す。
 「マヤ、日よけは?」
 「ああ、こっちに入れてあったかしら…。」
 マヤは手荷物をゴソゴソと探す。
 「あった、あった。」
 助手席の右腕に、マヤは紫外線避けの手袋をはめた。
 眩しい夏空の下、車は混雑にも巻き込まれずに済み、真澄は思い切りよく車を走らす。
 厚木ICで高速を降り、有料道路から135号線へ。
 マヤは車窓を開けてみた。生暖かい風が、勢いよく頬をなぶってゆく。
 真っ青な夏空と水平線を彼方に眺めながら、早朝のドライブを、ふたりは満喫した。
 温泉地リゾートを抜けて東伊豆道路をしばらく走ると、真澄の別荘である。
 約2時間半のドライブで、ふたりは別荘に到着した。朝の陽光に燦めく海が、目に眩しかった。


   車庫に車を置いて、真澄は車の後ろから荷物を運び出す。
 マヤがクーラーボックスに持参してきた食料で、ふたりは軽い朝食を用意した。
 トーストにベーコンエッグ、少々の野菜をマヤが調理し、そして真澄の自慢のブルーマウンテン。
 冷房の効いた室内も快適で、朝食を済ませると、俄に寝不足の眠気も襲ってくる。
 「…速水さん、ちょっと休憩してもいい?」
 「眠くなったか?」
 「ん…ちょっと…。」
 そう言って、マヤはリビングのソファに早々に横になってしまう。
 海水浴はあまり日中気温の高い時間でない方がいいのだが。
 しょうもない子だな…。真澄はフッと苦笑しながら、自分用のコーヒーを煎れた。
 真澄も、リビングのもう一方のソファでしばし、早朝からの運転疲れを癒す仮眠をとることにした。


   小一時間も眠っただろうか。陽も高くなっている。
 真澄は目を覚まして、まだ眠っているマヤの肩に手をかけて、揺り起こした。
 「マヤ…、マヤ、起きるんだ。先に行ってしまうぞ。」
 うん…、とマヤが起こされて、眠たげにうすく瞼を開き、真澄を見あげる。
 「起こして…。」
 マヤが甘えて囁く。真澄はたまらなく心を擽られる。
 すい、と真澄はマヤに口づけた。そして、ひとしきりくちびるを貪ると、マヤを抱き起こした。
 マヤは真澄の頸に腕を回し、半開きのくちびるで、さらに口づけを誘う。
 真澄はマヤを抱き直して、いっそう深く、くちびるでマヤを責め立てた。
 マヤが甘く呻く。このまま抱いてしまいたい衝動にも、真澄は衝かれる。
 だが、マヤの方が、先に今日の本来の目的を思い出した。
 真澄のくちびるを逃れると、笑ってマヤは真澄からするりと身体を離した。
 「もう起きた!。速水さん、支度、支度。」
 まったく、いいところで。
 やれやれ、と真澄は苦笑いしながら立ち上がった。
 マヤはコットンブラウスとイージーパンツの下に、水着を着込んで来ていた。
 大きな荷物の中から、日焼け止めを探し出す。そして、着ていた服をさっさと脱いでいく。
 肩紐の無い、深紅にピンクとオレンジの花柄も鮮やかなビキニの水着姿が、真澄の目の前に現れる。マヤにしては、大胆な選択だ…。
 真澄は、マヤの白い肌に映えるその深紅の水着姿に、思いがけず目を奪われた。
 全裸の姿にもまして、むしろ妖艶だった。真澄の胸が高鳴る。
 剥き出しの華奢な肩の線もなだらかに、若々しくほっそりとした二の腕に続く。
 鎖骨からはるか下に、水着の胸。豊かな胸の谷間も淫らなほどくっきりと、半分は露わだ。
 鍛えられてよく引き締まったみごとなウエストラインも、か細く白く、その割りには豊かな腰と尻の丸みをかろうじて隠す、水着のハイレッグ。
 愛おしい者の、豊饒な美。真澄の眼は釘付けになり、悩ましく気分が乱れた。息詰まるような、マヤの艶麗な姿だった。
 「速水さん、これ、日焼け止め。背中とか塗ってください。」
 「あ?ああ。」
 我に帰って、真澄は「SPF60+」とあるチューブを受け取った。
 長い髪をより分けて首筋から、肩、胸元、背中、脇腹、腹部と、真澄は掌で半液状のクリームを、念入りにマヤの肌に擦り込んでやる。
 肌理の詰んだ、つややかで張りのあるマヤの若い肌は、真澄の指先に生き生きとした弾力を返してくる。その感触に、真澄の胸は熱く疼いた。
 クリームを塗ってやりながら、真澄の熟知したマヤの躰の感じ易い箇所には、真澄はつい愛撫を交える。
 「…ふ…、速水さん、ダメ…。」
 マヤは敏感に反応する。そのくちびるを、真澄は口づけで塞いだ。
 「…ん…」
 マヤがあえかに喘ぐ。
 真澄はひととき、口づけに熱中した。
 マヤは、ようやっと真澄のくちびるから逃れて、熱い溜め息をついた。
 「ん、もう。速水さんったら…」
 真澄は忍び笑いをもらしながら、続きのクリームを全身に塗ってやった。
 「そら、出来上がりだ。」
 真澄はマヤを立たせた。そして、獲物を狙う獣のように、マヤを眺めやった。
 「綺麗だ…マヤ…」
 マヤが、はにかんで微かに笑う。そして、自分で髪を一つに束ねた。
 「あとね、これ。」
 マヤは荷物の中から、浮き輪と小型のゴムボートの包みを取り出した。栓を抜けば、自動で空気が入るようになっている。
 「なんだ、子どもみたいだな。」
 真澄は笑って、それでも、うまく両方とも、空気を入れて栓をしてやった。
 クーラーボックスに、氷と缶ジュース、朝作ったサンドイッチを詰め、マヤが薄い日除けの長いシャツを羽織って、一通り準備ができた。
 真澄も服を脱いで、朝から着ていた水着姿になる。マヤが、真澄の半裸を、眩しげに見あげた。
 「さて、行こうか。」
 「はいっ!」
 ビーチサンダルも、マヤは新品だ。真澄の分は別荘に誂えてあったものだ。
 その日、関東地方はこの夏の最高気温を記録し、都心では38℃まで上がっていた。
 彼らは、ふたりだけの真夏の浜辺に、意気揚々と繰り出していった。


  岩場の日陰にシートを広げて荷物を置き、マヤも日除けを脱いだ。
 「速水さん、早く早く!」
 マヤは、裸足になって、高らかに笑いながら、一目散に砂浜へ駆け出していった。そして、振り返って、
 「浮き輪とボート、持ってきて!」
 真澄に呼びかける。
 「アハハハハ…」
 マヤの明るい笑い声。それは誰もいない砂浜に、虚空高く吸いこまれていく。
 陽差しは沖天にあり、熱した真夏の太陽はじき南中しようとしていた。
 真澄はその遊び道具を持って、マヤのあとをゆっくり追った。
 波打ち際、浅瀬でマヤが波と戯れている。
 「きみ、泳げるんだろうな?」
 マヤに追いついた真澄は、念を押した。
 「小学校で習ったくらいなら泳げるわ。」
 「危ないな、ほら。」
 真澄は浮き輪をマヤに渡してやる。マヤは喜々として、海へ入って行った。
 「きゃぁ、気持ちいい!」
 真澄は、水泳など久しく忘れていたが、いざ、水にはいると、体が覚えているものだ。少し沖へ泳ぎ出した。
 「ここまで来てごらん!」
 真澄はマヤを呼ぶ。マヤは浮き輪に掴まりながら、波に揺られ、手足をバタつかせているだけだ。
 「待って、待ってー!」
 「ハハハハハ…」
 今度は真澄が声を上げて笑いながら、さらに縦横無尽に海中を泳ぎ渡っていく。マヤにはとても追いつけない。
 真夏の太陽と海と空。
 この天然の自然のなかにあって、真澄は日常忘れていた大切な何かに、ふと思いを寄せた。
 背泳ぎすると、波飛沫が真澄の頬にかかる。心が、奔放に解放されてゆく。真澄は、この時、なにものからも解き放たれて自由だった。
 マヤを見ると、随分遠くに来てしまっている。ぽつんとマヤの浮き輪の姿が遠目に見えた。真澄はゆっくり泳いで戻った。
 マヤも浜に戻ってくる。
 「ずるいわ、速水さん、一人で行っちゃうんだもん。」
 「ハハハ、今度はこれで一緒に行こう。」
 真澄は浜に置いてあったゴムボートを持つと、マヤの浮き輪を外し、マヤの手を取って再び海に入った。
 「つかまっているんだ。俺が泳ぐから。」
 真澄は片手に小さいボートの端を持って、沖へ泳ぎ出した。マヤは言われた通り、ボートに掴まっている。
 打ち寄せる波が、ふたりを洗っていく。
 「速水さん、もう足が届かない…。」
 恐る恐る、マヤが言う。
 「大丈夫だよ。」
 真澄は笑って、上半身をボートに乗せた。マヤも同様にする。
 波間にそのまま漂いながら、真澄はマヤの肩を抱き寄せる。そして、海の上、真澄はマヤに口づけた。
 マヤの濡れた熱い柔らかなくちびる。
 幸福、だった。
 満ち足りた想いが、深く真澄を満たした。
 しばらく、熱した口づけを交わして、真澄はゆっくり、くちびるを離した。そして、マヤの顔を覗き込む。
 うっすらと赤みを帯びた瞳で、うっとりとマヤは真澄をみつめた。そんなマヤが、真澄には愛おしくてならない。
 ひととき、そうして、ふたりは波間に漂っていた。


 「そろそろ上がろう。疲れないか?」
 「平気よ。」
 真澄は、岸へ、ボートを泳がせた。
 「休憩するか。」
 足元を波に浸しながら、手をつないで岩場の日陰へとふたりは歩いた。
 真澄はシートに腰を下ろすと、クーラーボックスからジュースを取り出し、横に座ったマヤに差し出した。
 マヤは一息で半分ほど飲み干す。その、のけぞった喉元が、真澄には艶めかしく見える。
 残り半分は、真澄が飲んだ。その空き缶を灰皿代わりに、真澄は煙草に火を点けた。
 「昼飯にするか?」
 「ううん、まだいいわ。ねえ、それより、貝殻って、あるの?」
 「さあな…。この辺りは昔から浅瀬だったからな。」
 「探してみる。」
 マヤは休憩もそこそこに、再び岸辺に走り出した。
 おいおい、俺は置いてけぼりか?真澄は内心に呟く。
 見ていると、マヤは波打ち際の波と戯れていた。
 真澄はシートにごろりと横になった。潮風が、心地よい。日陰から眩しい空を見あげると、空の青がひとしきり目に滲みた。
 真澄は瞼を閉じた。目を閉じても、陽光は、瞼の裏に眩しい。
 いつの間にか、真澄はうとうとと、軽い眠りに落ちていた。



  どのくらい真澄は眠っていたのか。気づくと、すっきりと気分は爽やかだった。
 陽差しは、午後の陽光の色に変わっている。
 マヤは…?。眺めやると、マヤが岸辺でうずくまっているのが遠目に見えた。
 “貝殻探しか。まだやってるのか”。これ、となると、とことん我を忘れるのが、マヤの悪い癖だ。
 真澄はマヤの傍に急いだ。
 「そろそろ帰るぞ。もうそのへんにしておくんだな。」
 「え…、あ、ああ、そうね…。」
 マヤは顔を上げて、ゆっくり立ち上がった。だが。
 フラリと上体を揺らすと、マヤはそのままザッと浜辺の砂に倒れ込んだ。
 「おっ、おいっ!マヤ!」
 慌てて真澄はマヤを抱き起こした。身体が異常に熱い。それに、汗もかいていない。
 「マヤ!マヤっ!」
 真澄は心底驚いて、マヤの頬を軽く叩く。が、ぐったりしたマヤは真澄の腕の中で気を失っている。意識が、ない。
 まさか……熱中症!?。
 真澄はマヤを抱き上げると、取るものも取りあえず焦って別荘にとって返した。


 真澄はマヤを抱きかかえたままバスルームへ飛び込んだ。
 バスタブに冷水を満たして、水着のままマヤの身体をゆっくり足先からバスタブに横たえる。
 砂にまみれた髪をほどいて、ざっと洗い流してやり、掌で掬った水を、頬に額に繰り返しかけてやる。
 「…マヤ…マヤ!なんてことだ…!。」
 真澄は恐怖で身が縮む思いだ。
 頼む…気づいてくれ…!
 真澄は、天を仰いだ。







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