「ガラスの仮面」の恋愛論における考察
近代ヨーロッパにおいてロマン主義(Romantic)が発展したが、啓蒙主義・合理主義派(思考・理性)から徹底的に反発を受けた。幻想、感情、ノスタルジー、恋愛などは合理主義の上では全く役に立たないものだからである。 では、恋愛は本当に役立たずなのだろうか? 人間は、「親和動因」が高まると、「人を恋しくなる」。 親和動因とは、「人と仲良くなりたい」と思う欲求で、寂しさ、抑うつ、不安などの喪失感を感じると、親和動因が起こる。 →たとえば、分離不安(孤独)など、他の存在から切り離されている状態のとき。 なぜ、不安だと親和欲求が増すのか?
<「好意」を形成する要素>
◎真澄がマヤに好意をもった理由
<似た者同士がカップルになる理由> 恋愛・結婚のパートナーには、お互いに身体的魅力が類似している相手が選ばれる傾向がある。なぜ、似た者同志が選ばれるのか?
<恋愛の3要素> 恋愛を構成する要素は3つあって、それぞれが正三角形のようにバランスが取れていないといけない。
たとえば・・・ Passionのみが大きい場合→舞い上がっている状態 ・ガラスの仮面でいえば、紫織状態。 真澄への愛と執着、婚約している(自分は必ず妻になる)という自信 Intimacyのみが大きい場合→愛してる、ではなく、ただの好き ・いくら親しくても、それは恋愛しているとはいえない。 つまり、桜小路を見るマヤの心理 Commitmentのみが大きい場合…恋愛ではない ・関わりが大きくても、それも恋愛ではない。 たとえば、聖とマヤの関係 ちなみに・・・
<「好き」になってもらうには?> では、相手に自分のことを「好き」になってもらうには、どうしたらいいのだろうか。 自分を「好き」になってもらうには、接近行動が不可欠である。接近行動とは、援助行動、電話をかける、話しかけること・・・など相手に近づき、関わりあうことである。つまり、「好き」に結びつくものを強化すれば、相手は自分を「好き」になる。といっても、いきなり大きなステップを設定すると失敗してしまうので、相手が乗れるような小さなステップから始めることが大切だ。 ◎真澄の、マヤへの接近行動の例
→以上の援助行動の結果、真澄は「マヤが自分を好き」にさせることに成功した。 <愛と好意の違い>
<「愛」とは?> 「愛」とは、「好き」、「相手のことを大切に思う」ことである。これは特定の動機(欲望、理解されたい)に還元できる。 「無償の愛」とは、見返りを求めない無償性の愛のことで、特定の動機に還元できない。しかも何によって強化されているのかわからない。 ◎つまり、真澄はマヤに金銭的・精神的に惜しみない援助をしているが、だからといって対価交換として、マヤとのセックスを求めているわけではない。その援助行動が何によって強化されているのか、また長期間続けられるのか、自分でもわかっていない。彼は「無償の愛」を与えている、ということ。 <では何を「愛」と呼ぶ?> 物質的なものだけでなく、「自分の命」を与えること。自分の命とは、もっとも貴重なもの、その人を生かしているものである。しかも与えてもなくならない。つまり、自分の中に生きているものを与えることである。しかしそれは返ってくることを前提としない。 「愛は与えること」「愛は愛を生み出す」 世の中の常識のうえに成り立っている恋愛は、恋愛ではなく、むしろ商売。 →たとえば、クリスマスに彼女にプレゼントを渡し、おいしい食事をごちそうする。しかし一夜をともにせず、彼女は帰ってしまった。これでは等価交換が成り立たないので、彼氏は怒って別れてしまった。 (この例文では、彼氏はプレゼントと食事の等価として彼女とのセックスを望んでいた、とある。ではその等価が単純に「彼女と過ごす時間」または「彼女と話す時間」であれば、セックスがあろうがなかろうが別れる理由にはならないのではないか、という指摘を受けた。ここでは、彼氏は「当然セックスを望んでいた」と想定する) ・・・このように、お金、権力のなかに愛は存在しない。 ◎紫のバラの人として、マヤに洋服を贈ったり学費を払っていたのは物質的援助。だが、それだけでなく、真澄自身の中に生きているもの、たとえば喜び、知識、ユーモア、興味、なども精神的な援助としてマヤに与えている。それらは自分にとって非常に大切なものであるが、決してなくならず、また返ってくることを前提としない。結果、「愛から愛を生み出す」ことに成功したといえる。 ◎紫織の自殺未遂、脅迫、また養父英介の圧力によって結婚を決意した真澄に、紫織への愛は存在しない。 <愛の能力> 愛の能力(人に大切なものを与える能力、誰かを愛する能力)は、その人の成長とともに高まる。
つまり、「もらうより与える」「愛されるより愛す」 これらを強化していけば、愛の能力はどんどん高まっていく。さらに訓練も必要となる。
◎真澄、マヤの「愛の能力」強化・訓練としては、これらすべて当てはまると思われる。 ※真澄
※マヤ
最後に・・・ ロミオとジュリエット効果…いわゆる障害(二人の愛を阻むもの)が大きければ大きいほど、 情熱が燃え上がる。 これを乗り越えること→ =闘争→連帯感が生まれる、強まる→活性化、興奮 以上が「ガラスの仮面」における恋愛論の考察である。 |
いや〜、超楽しいお話ありがとうございました。世に恋愛論は多々あれど。ごぢさんが以上のように簡潔にまとめて下さいました。なるほどなるほど。さすが現役の学生さんですね。独自の視点と分析で「ガラスの仮面」のストーリー骨子であるところの速水さんの“足長おじさんストーリー”も真澄さん・マヤちゃんそれぞれの愛のあり方も明確になりました。果たしてふたりのそれぞれの愛情の成就はどんな形で描かれることでしょうか。完結の日を楽しみに待ちたいと思います。ごぢさん、ありがとうございました♪ |
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