月のない夜

written by sugar様










 私は
 今夜も「あの人」に
電話をしている。


 Trrrrrrr・・・・


 ガチャ

 「はい 速水です。ただいま電話に出る事が出来ません。
  恐れ入りますが、
  発信音のあとにメッセージをどうぞ」

 また・・・・留守番電話

 私は何度もメッセージを入れる。

 「紫織です。真澄様、お話をしたいと思い
  お電話差し上げましたの。
  お時間がありましたら、お電話 下さいまし」

 お決まりのメッセージ

 この台詞を
 もう何回 無機質な機械の中に
 記憶させただろう・・。

 ガチャ  プープープー・・・・


 Trrrrrrr・・・・

 ガチャ

 「はい 速水です。ただいま電話に・・・」
 
  ガチャ

 真澄様・・・・あなたは今、何をしていらっしゃるの?

 ええ、わかっている

 「仕事の鬼」といわれているあなた
 きっとお仕事をされているのでしょう・・・

 とりつかれたように。


 そう・・


 私もとりつかれてしまった。

 あなたに恋したときから

 あなたの心が
 私に無いことを知ったときから

 気づいたときには

 あなたの心には、あの少女が居た

 私が居るべき場所に・・・・


 私は、盲目になっていて

 気がつかなかった・・・・

いいえ、気づかないフリをしていた

あの人を絶対に渡さない
あの人は私のもの

たとえ
抜け殻になってしまわれても

何も持たないあの子に
真澄様は 渡さない

そう

真澄様は
私だけのもの・・・・


あなたの心の奥を

知ってしまったあの夜から

月が
隠れてしまった・・・・

そう

私の心の中も
真澄様の心の中も・・

闇がジワジワと支配し始めた・・・・




 フフフフ・・・・

クククク・・・・

愚かなる人間よ
苦しむが良い

我が支配する闇に
包まれるが良い

愛とは愚かなものよのう

これほどまで
人を狂わせる

フフフフ・・・・

初めての恋で
苦しみを知らなかった人間

恵まれていて
望むままに与えられてきた人間

全てが手に入っていた人間

そして

自分の愛が
正しいと信じて疑わない

抜け殻になっても
自分のものにしたいと言う

そなたの思い・・

最高だ。

無垢で
純粋で

想いが深ければ
深いほど

闇の炎が燃え上がる


もっと 苦しみ
もがくが良い

苦しめば 苦しむほど

そなたの魂は 穢れていく
そして
落ちていくのも著しい

 そなたの想い人と
共に落ちれば良い

それが本望であろうよ?


やがて
煉獄の炎の上で
踊っている 自身を見るだろう


そして
最高な魂となって
我の手の中に落ちてくるだろう。


その時には
闇の宴に招待しよう

永遠と言う世界の中で

闇の快楽に
溺れるが良い

勿論

そこには
そなたの想い人は存在しない

煉獄の炎で
永遠に別れた魂

闇の宴の中で
快楽に溺れながら

愛しい魂を
想うが良い

その苦しみ
嘆き
憎悪
嫉妬

我にとって
至福なるもの



闇を照らす月が
消えてしまったとき

我はそなたと共に在る















終わり











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