354000番ゲット・いずみ様リクエスト: リクエストですが、愛子ちゃんのお話以外をと思い、考えるのですが、
 他の皆様が素敵なお話をリクエストされておりますし、私の発想力が乏しく、思いつきませんので、また愛子ちゃんのお話をお願い致します。
 リクエストですが、パパが大好きな愛子ちゃんが、将来はパパと結婚すると言い出します。
 ラブラブな真澄さんとマヤちゃんを見ると、愛子ちゃんがやきもちを焼いたり、愛子ちゃんのパパと結婚する発言が嬉しい真澄さんは、
 愛子ちゃんに更にメロメロになって、それを見るマヤちゃんは、拗ねてしまったり・・・というお話をお願い致します。
 ほのぼのとして、最後は、真澄さんとマヤちゃんのラブラブも読みたいです。

※このシリーズはこれで終了です。いずみ様、まことにありがとうございました。





 真澄とマヤとの間に生まれた長女、愛子、2歳年下の弟、長男、雄大(たけひろ)。
愛子が幼稚園に入園して迎える初めてのクリスマス。
真澄は子ども部屋にリースとクリスマスツリーを飾らせた。
クリスマスツリーの電飾は幻想のようににうつくしく輝き、夢幻のごとく点滅し、煌めくたび、緑の葉にとりどりのオーナメントの影を落とした。



 愛子は日曜日は東洋英和の子ども礼拝に出席し、そのあと午後は劇団オンディーヌ幼稚部の稽古に回る。
真澄の美貌を受け継ぎ、真澄の血を濃く受けた愛子は、愛くるしい利発な子どもであった。
日曜は、真澄もマヤもなるべく子ども達と一緒に過ごすべく、時間をとっていた。
子ども部屋のソファにマヤと真澄は並んで腰掛け、知育玩具で遊んでいる愛子と雄大を優しく見守った。
「愛子ちゃん、今日はみ言葉は何を習ってきたの?」
マヤが愛子に尋ねる。
「み言葉はね、『いと高きところには神に栄光があるように。地の上ではみ心にかなう人々に平和があるように』。」
愛子はスラスラと暗唱してみせる。
「愛子、よく言えたかな。よしよし。」
真澄が極上の笑顔で、愛子に微笑みかける。
「お星が光る ピカピカ お星が光る ピカピカ 何が 何があるのか お星が光る ピカビカ。」
愛子は、子ども讃美歌の一曲を口ずさんだ。
「マヤ、この子は本当に音感がいいな。聴いたか。実に正確な音程で歌うじゃないか。ピアノを習わせたのは正解だったな。」
「そうね。愛子ちゃんは物覚えもいいし。賢い子だわ。」
愛子のピアノは、すでにバイエルを終え、ブルグミュラーに入っていた。
『諸人こぞりて 迎えまつれ 久しく待ちにし 主は来ませり 主は来ませり 主は 主は 来ませり。』
愛子はクリスマスの讃美歌も歌った。
「あとね、輪唱も習ったの。『遠い空のかなたから』。」
「輪唱?じゃあ、ママと一緒に歌う?愛子ちゃん。」
「うん!」
マヤは立ち上がると、ピアノの上に置いてある子ども讃美歌の楽譜を手に取った。
「じゃあ、愛子ちゃんから先に歌ってね。ママがあとから歌うから。」
マヤは愛子の傍で讃美歌のページを広げた。親子で、讃美歌を覗き込む。
『遠い空の彼方から 歌の声が響きます ナザレの貧しい乙女に 神の子生まれました 歌えノェルと 高らかに』
『羊飼いよ 起きなさい、光の輪が照らします 平和と清い喜びは 闇夜に広がります 歌えノェルと 高らかに』
『羊飼いは立ち上がり ベツレヘムへ急ぎます 輝く清らかな星は 馬屋へ導きます 歌えノェルと 高らかに』
『遠い国の博士らも 宝物を捧げます 静かな馬屋の中には 恵みが 輝きます 歌えノェルと 高らかに』
『遠い空の彼方から 歌の声が響きます 「み栄え み神にあれかし 安きは 人にあれ」と 歌えノェルと 高らかに』
親子の綺麗な輪唱が重なった。
歌い終えると、真澄は拍手を贈った。
「いいぞ、ふたりとも。よく歌えたな。」
真澄は心から喜んだ。
「内藤さん、雄大の入浴を頼む。」
真澄は雄大付きの乳母に雄大を託した。
「愛子、おいで。」
真澄は膝に愛子を呼んだ。
「愛子、パパが好きか?」
「うん!愛子はね、大きくなったら、パパと結婚したい!」
「ええっ!?」
マヤと真澄は顔を見合わせた。
「愛子ちゃん、どこでそんなことを覚えてきたの?」
「オンディーヌでね、勝弘くんは陽子ちゃんと結婚したいんだって。でも、陽子ちゃんは和馬くんと結婚したくて、和馬君は陽子ちゃんがいいんだって。」
「愛子はパパと結婚したい!」
「愛子ちゃん、パパはママと結婚しているでしょう。結婚は、ひとりの人としか出来ないのよ。」
「パパと結婚、できないの?」
「そうよ。愛子ちゃんは、大きくなったら、素敵な男の人と結婚するのよ。」
「愛子は、パパがいいのに!」
「そうか、そうか。愛子はパパがそんなに好きか。よしよし。いい子だ、いい子だ。」
真澄はさも愉しげに、愛子に頬ずりをした。
「愛子は、誰と結婚しなくてもいいぞ。一生、パパと一緒に暮らそう。」
「真澄さん、そんなこと言っちゃダメよ。愛子ちゃんは素敵な人と、幸せな結婚をして欲しいわ。」
「愛子ひとりくらい、一生好きなように養っていけるさ。」
「親の方が先に死ぬんだから、愛子ちゃんが残されたら可哀相じゃない!」
「愛子ちゃん、愛子ちゃんはいつか、素敵な男の人と巡り会って、結婚するのよ。」
「愛子はパパがいいの!」
「もう…我が儘を言うようになって。真澄さんが甘やかすから…。」
マヤは呆れて真澄を睨んだ。
雄大が内藤に抱かれて、浴室から上がってきた。
「さ、今度は愛子ちゃんのお風呂の番よ。佐藤さん、お願い。」
「お休み、愛子ちゃん。」
「お休み、愛子。よく寝るんだぞ。」
「はぁい。」
マヤと真澄は子ども部屋を引き揚げた。



 夫婦のリビングでソファに並んで腰を下ろし、テレビを眺めながら、真澄は愛子の言葉に思い出し笑いをしていた。
「なあに、真澄さん、ニヤニヤしちゃって。」
「いや…。愛子には参るよ。パパと結婚したい、だと?ハハハハ…。」
真澄はいかにも楽しくてたまらないといった風情で声を立てて笑った。
「真澄さん、あなたの妻はあたしでしょう?あたしではご不満?」
「そんなことはないさ。マヤだけが、俺のただひとりの妻だ。」
真澄はマヤの肩を抱き、マヤに軽く接吻した。
ちょうどその時、リビングのドアが開き、愛子が寝間着のまま、ひょっこりと顔を出した。
「あ、パパ!ママにばっかりチューしてる。ずるい。愛子にもして!」
慌てて真澄はマヤのくちびるから顔を離した。
「どうした?愛子?おねむじゃないのか?」
「パパ、ご本、読んで。」
「真澄さん、寝かしつけは佐藤さんに任せないよ。」
「いいさ、たまには。よしよし、愛子、パパがご本を読んでやろうな。そうしたら、ちゃんと寝るんだぞ。」
真澄はソファから立った。
「もう…。真澄さんったら、甘やかして…。」
「拗ねるなよ、奥さん。たまにだからいいだろう?」
「拗ねてなんかいないわよ!愛子ちゃんを甘やかさないで。」
「せっかく結婚したいとまで言ってくれたんだ。今夜は俺が寝かしつけてやる。愛子は俺の天使だ。」
「もう…!」
真澄はマヤが睨むのを後目に、子ども部屋に向かった。
子ども用のベッドに愛子を抱いて横たえると、真澄は愛子のベッドの傍らに膝をつき、子ども向けの北欧神話を読み聞かせてやった。
絵本の題名「世界の終わり」。かの北欧神話のハルマゲドンである。
傍らでは雄大が静かに熟睡している。
15分と経たないうちに、一日の疲れから、愛子はすっと眠りに落ちていった。
真澄はしばらく愛子の安らかな寝顔を眺め入った。そして愛子の頬を掌で軽く愛撫すると、真澄はそっと子ども部屋を後にした。



「愛子ちゃん、眠った?」
「ああ。よく眠っている。」
「まったく、今時の子どもはどこの家の子でもませているな。俺と結婚したいだと?ハハハハ…。」
真澄は心底愉しげに笑った。
「真澄さん、愛子ちゃんには、あたし達のような思いはさせたくないわ。年頃になったら、素敵な恋をして、幸せな結婚をしてほしい。」
「ああ、そうだな。だが、俺は愛子を嫁にやるなど、考えたくもない。」
「まさか、愛子に、マヤとの間の焼き餅を焼かれるとは、思ってもみなかったよ。」
「愛子ちゃん、おませさんよね。」
「子どもの成長とは、早いものだな。ついこの間、生まれたばかりのような気もするのに。」
「そう?あたしはもう、随分前のことのようだけど…。」
「マヤも忙しいからな。」
「愛子ちゃんも雄大くんも、元気に育ってくれて嬉しいわ。」
「俺とマヤの子だ。元気なら人一倍だろうさ。」
「愛子も雄大も、俺とマヤの愛の結晶だ。大切な、俺の宝だ。」
「愛…真澄さん、愛している?」
「ああ。マヤ。愛しているよ。」
「なんなら、証拠をお見せしよう、奥さん。風呂に入っておいで。」



長かった真澄のマヤへの片思いの分だけ、真澄は何年経っても新婚当初と変わらず、熱い愛をマヤに注いだ。
「あ…あ、真澄さん…」
真澄の施す愛戯に、マヤはうっとりと眼を閉じた。マヤは真澄に縋りつき、真澄によって導かれる快楽に身を躍らせた。
その夜、夜更けまで、ふたりは存分に愛し合った。
「マヤ…愛しているよ…。」
真澄の甘い囁きは、深くマヤの心に滲み入った。




やかて迎えたクリスマス・イヴ。
24日がちょうど日曜にあたり、マヤも早くからこの日の夜のスケジュールは空けておいた。
その晩は英介もダイニングに降り、一家揃って、クリスマスの晩餐を囲んだ。
家族揃った楽しい団欒は、その夜、いつまでも尽きることが無かった。








終わり






2002/12/11

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