350000番ゲット・ぷりゆき様リクエスト: 季節はクリスマス…。(クリスチャンの方にとっては待降節に入りましたね。)
 ふと思いついたのがうららちゃんのところのトップ絵。
 アレのオリジナルはクリスマスイルミネーションの人ごみの中真澄様が後ろからマヤちゃんを抱きかかえているシーン。
 「ちょっとだけでいい。このままでいさせてくれ。」ってやつ。く〜!なんて切ないんでしょう。これにストーリーをつけていただきたいんです。
 設定は、思いがかなって結ばれた二人も世間にはシークレットの仲。お互いの多忙ですれ違いの日々。
 普段は冷静沈着を装っている社長がどうにもこらえ切れなくなり、マヤちゃんを待ち伏せ。
 そこで、思わず人目をはばかることも忘れて後ろから抱きすくめちゃうんです。
 もうその後は二人の世界。どうにでもしてやってください。

※どうにでもして、…(^^;ゞ。そうです、待降節です。私の愛唱する聖句と讃美歌ぜめで参りますわよっ(笑)





♪久しく待ちにし 主よ、疾(と)く来たりて
  み民の縄目を 解き放ちたまえ
  主よ 主よ、み民を 救わせたまえや

  あしたの星なる 主よ、疾く来たりて
  小暗きこの世に み光を給え
  主よ 主よ、み民を 救わせたまえや

  ダビデの裔(すえ)なる 主よ、疾く来たりて
  平和の花咲く み国を建てたまえ
  主よ 主よ、み民を 救わせたまえや

  ちからの君なる 主よ、疾く来たりて
  輝くみくらに とわに即(つ)き給え
  主よ 主よ、み民を 救わせたまえや



 マヤが『紅天女』後継者となり、真澄がマヤと晴れて想いを通わせて1年。
ふたりの仲は未だ厳然とした秘密の仲であり、近親のごく一部の人間にしかその間柄を知らせてはいなかった。
マヤも多忙な芸能生活を送っており、なかなか真澄と思うように逢瀬の時を持つことができなかった。



 季節は巡り過ぎ行き、真澄はもう3ヶ月もまともにマヤと逢っていない。
気がつけば、早や師走である。
街には華やいだクリスマスのイルミネーションが輝き、クリスマスソングが流れ、街角にはクリスマスツリーが飾り立てられている。

「水城くん、俺は今日はこれで帰る。あとの予定はキャンセルしてくれ。きみも早く帰っていいぞ。」
「真澄さま、マヤちゃんですの?」
「ああ。それ以外の理由があるか?」
水城はふたりの仲を知る、数少ない人間の一人である。
「承知しました。後の処理はお任せ下さいませ。どうぞごゆっくり。」
「では頼んだ。」
真澄はひらりとコートに袖を通すと、足早に社長室を後にした。



 キッドスタジオ。
稽古を終えたカンパニー面々が、次々と外に出てくる。
真澄はマヤが出てくるのを、スタジオ脇の狭隘な路地の隅で寒さも忘れて待った。
やがて、マヤが一人でスタジオから出てきた。

「マヤ!」

「あ!速水さん!」

真澄はマヤの手を取って路地に引き込むと、マヤを後ろから抱きすくめた。

「速水さん…人が来るわよ…。」
「少しだけでいい、このままでいさせてくれ…。」
「速水さん…。」

真澄はマヤの髪に頬をうずめた。

「逢いたかった…マヤ…。」
真澄が、甘く囁く。

薄闇の中、真澄はしばらく黙って、マヤを抱き締めていた。
真澄の腕の中で、マヤはうっとりと真澄の温もりに包まれた。


「速水さん、今日はお仕事は?」
「ああ。キャンセルだ。マヤに逢いたくて。今夜は一緒に過ごそう。久しぶりに。」
その真澄の言葉に、含羞みながらもマヤの微笑みはひととき輝いた。

真澄はマヤと腕を組むと、路地から裏通りに出て、タクシーを拾った。
ふたりは南青山の知る人ぞ知るレストランでフランス料理に舌鼓を打ち、ブッシュ・ド・ノエルをデザートに食べ、
いつも密会している皇居前のホテルに向かった。


ホテルの部屋に入り、ふたりきりになると、真澄はマヤを強く抱き締めた。そして、深いくちづけをマヤに贈る。
長いくちづけから、ようやく解放されたマヤが真澄に言った。

「速水さん…クリスマスは私、予定を空けてあるわよ。」
「それまで待ちきれなかったんだ。」
「クリスマスは俺の別荘で過ごそう。」
「ほんと?プレゼントを用意しておくね。」
「マヤ、シャワーを浴びて温まっておいで。俺は後からでいい。」
「そう?じゃ、お先に。」

マヤはふたり分のコートをクロゼットに仕舞うと浴室に消えた。
真澄は有線放送で音楽をかけた。チャンネルは讃美歌。クリスマスソングが次々と流れてくる。
真澄は聖歌隊の歌声に聴き入った。
じきにマヤが浴室から出てくる。
「ああ、いいお湯だった。速水さんもどうぞ。」
「よし、交替だ。」
声楽を始めたばかりのマヤは、流れてくる聖歌隊の歌声に、興味深く聴き入った。
バスローブを纏って、真澄が浴室から出てくる。マヤは真澄の着替えを受け取って、クロゼットに仕舞った。
真澄はルームバーから赤ワインを取り出すと、栓を空け、グラスに注いだ。
「マヤ、待降節に乾杯だ。」
「え?待降節って?」
「キリスト教で言う、クリスマスまでの4週間のことだ。」
ふたりはグラスを合わせた。
ワインは程良い甘さで、マヤの舌に滲みた。
「いずれ婚約を公にしたら、マヤ、この季節はコンサートに行こう。」
「バッハのクリスマス・オラトリオ、ヘンデルのメサイヤ、それに第九だ。」
「どれも、素晴らしい音楽だぞ。」
「本当?楽しみだわ。早くふたりで揃って出かけられるといいのにね。」
「もう、しばらくの辛抱さ。」
真澄は微笑んでマヤを抱き上げ、シーツごと毛布を捲ると、マヤをベッドに横たえた。

そして、ふたりの熱い夜の営みが始まった。
真澄は最後はマヤが気を失うまで、夜通し存分にマヤを抱いた。
かくも、恋人同士の夜は熱く、そして睦み合いは果てしもなく甘かった。




樅の小枝で作られた輪の上に立てられた4本の蝋燭が待降節の第4日曜を告げると、一年のうちで最も厳粛な日が駆け足でやってくる。


神はその憐れみ その真実(まこと)を贈りたまわん
我が魂は 群いる獅子の中にあり
火のごとく燃ゆるもの
その歯は 矛のごとく 矢のごとく
そは 汝の憐れみは大いにして 天にまで至り
汝の真実(まこと)は 雲にまで至る
神よ 願わくば自らを天よりも高くし、み栄えを全地の上にあげたまえ。


幸いなるかな 心貧しき者、天国はその人のものなり。
幸いなるかな 悲しむ者、その人は慰められん。
幸いなるかな 柔和なる者、その人は地を嗣がん。
幸いなるかな 義に飢え渇く者、その人は飽くことを得ん。
幸いなるかな 憐れみある者、その人は憐れみを得ん。
幸いなるかな 心の清き者、その人は神を見ん。
幸いなるかな 平和ならしむ者、その人は神の子と唱えられん。
幸いなるかな 義のために責められたる者、天国はその人のものなり。


ああ主よ、我深き淵より汝を呼べり。
主よ、願わくは我が声を聞き、汝の耳を我が願いの声に傾け給え。


全地よ、主に向かいて喜ばしき声をあげよ、喜びをいだきて主に仕え、歌いつつそのみ前にきたれ。
知れ、主こそ神にますなれ、我らを造れる者は主にましませば、我らはそのものなり。
我らはその民、その牧の羊なり。
感謝しつつ、みかどに入り、誉め称えつつ、その大庭に入れ。
感謝してみ名を誉め称えよ。
主は恵み深く、その憐れみは限りなく、そのまことは、
よろず世に及ぶからである。


屠られた神の子羊こそ、讃美と誉れと栄光を受けるに相応しい。
屠られた神の子羊に、讃美と誉れと力と栄光とが世々限りなくあるように。



まぶねのかたえに我は立ちて 受けたる賜物 捧げまつる。
命の命よ 我がものすべてを とりて嘉(よみ)したまえ。

救いのみ恵み 我が身に満ち 輝くみ姿 心に映ゆ。
妙なる我が主よ きみより離れて 我はいずこに行かん。

煌めく明星(あかぼし) 馬屋に照り 侘びしき干し草 まぶねに散る。
黄金の揺りかご 錦の産着ぞ きみに相応しきを。

この世の栄えを望みまさず 我らに代わりて 悩みたもう
尊き貧しさ 知り得し我が身は いかに頌えまつらん



み使い歌いて 牧人集えば
愛しきみどり子 静かに眠れ。
今ぞ迎えん 我らの君をば。
ともに祝わん 我らの主をば。

いぶせき厩に 生まれし君こそ
贖い浄むる 救い主なれ。
今ぞ迎えん 我らの君をば。
ともに祝わん 我らの主をば。

いざ、いざ、宝を 携え急げや
清けき喜び 溢るる今宵。
今ぞ迎えん 我らの君をば。
ともに祝わん 我らの主をば。



さやかに星は煌めき み子イェス 生まれたもう。
長くも闇路を辿り メシヤを待てる民に、
新しき朝は来たり 栄えある日は昇る。
いざ聞け み使い歌う 妙なる あまつみ歌を。
めでたし、清し今宵。

輝く星を頼りに 旅せし博士のごと、
信仰の光によりて我らもみ前に立つ。
うまぶねに眠るみ子は 君の君、主の主なり。
我らの重荷を担い安きを給うためにと
来たれる神の子なり。

「互いに愛せよ」と説き 平和の道を教え、
すべてのくびきをこぼち、自由を与えたもう。
げに主こそ平和の君、類なき愛の人。
伝えよ その福音(おとずれ)を、
広めよ、清きみ業を。
頌えよ、声の限り。



心に主イェスを宿せる我らは
日ごとに夜ごとに、力を賜る。
我が主は 愛もて 我らを贖い、
その身を与えて、救いたまえり。

主イェスは我らの こよなき喜び
悩みの時にも 慰めたまえり。
主こそは 我らの 望みぞ、宝ぞ。
いかなる時にも、主より離れじ。



牧人 羊を 守れるこの宵
妙なるみ歌は 天(あめ)より響きぬ。
喜び頌えよ、主イェスは生まれぬ。

仰げばみ空に きらめく明星(あかぼし)
夜昼清かに 輝き渡れり。

その星 標(しるべ)に みたりの博士ら
メシヤを尋ねて はるばる旅しぬ。

くすしき光の 導くまにまに
博士はまぶねの 主イェスにまみえぬ。
喜び頌えよ、主イェスは生まれぬ。



荒野の果てに 夕日は落ちて
妙なる調べ 天(あめ)より響く
グローリア イン エクセルシス デオ

羊を守る 野辺の牧人
天なる歌を 喜び聞きぬ。

み歌を聴きて 羊飼いらは
まぶねに伏せる み子を拝みぬ。

今日しも み子は 生まれ給いぬ。
よろずの民よ いさみて歌え。
グローリア イン エクセルシス デオ



神のみ子は今宵しも ベツレヘムに生まれたもう。
いざや 友よ 諸共に 急ぎ行きて拝まずや。

賤(しず)の女(め)をば 母として 生まれまししみどり子は
まことの神、君の君。急ぎ行きて拝まずや。

「神に栄え あれかし」と み使いらの声すなり。
地なる人も頌えつつ 急ぎ行きて拝まずや。

とこしなえの み言葉は、今ぞ 人となりたもう。
待ち望みし 主の民よ、おのが幸を祝わずや。



諸人こぞりて 迎えまつれ。久しく待ちにし 主は来ませり。

悪魔の一夜を打ち砕きて 捕虜(とりこ)を放つと 主はきませり。

この世の闇路を照らしたもう 妙なる光の 主はきませり。

しぼめる心の花を咲かせ、恵みの露おく 主はきませり。

平和の君なるみ子を迎え、救いのぬしとぞ 誉め頌えよ。


「天(あめ)には栄え み神にあれや、つちには安き 人にあれや」と
み使い達の讃うる歌を 聞きて諸人 共に喜び 今ぞ生まれし 君を頌えよ。

定め給いし救いの時に 神のみくらを離れてくだり いやしき賤(しず)の処女(おとめ)に宿り
世びとの中に住むべき為に 今ぞ生まれし 君を頌えよ。

朝日のごとく 輝き昇り み光をもて 暗きを照らし
つちよりいでし人を活かしめ 尽きぬ命を与うるために 今ぞ生まれし 君を頌えよ。





待降節から、降誕節へ。季節は急ぎ足で巡り、マヤと真澄はクリスマスを迎えた。
真澄の伊豆の別荘で、ふたりは、ふたりだけのクリスマスを過ごした。
真澄はCDで、ヘンデルの『メサイヤ』を流した。
マヤはその荘重な調べに耳を傾け、遥か2000年の時を越えた伝説の夜に、思いを馳せた。








終わり







2002/12/9

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