344344番ゲット・soleil様リクエスト:真澄さんの悪夢っていうことでお願いします。
 マヤと晴れて結婚できた真澄さんですが、ある日見た夢の中では、真澄さんはシオリーと結婚していて、
 マヤは西園寺と結婚している。真澄さんとシオリーの関係は冷え切っているが、マヤたちはラブラブ。
 そんな二人に嫉妬を募らせる真澄さん。っていうことでお願いします。なんなら、夢の中で、真澄さんにマヤを襲わせても結構です。
 よろしくお願いします。

※お、襲わせちゃうんですか?オソルオソル…。よろしいですわ。ご希望通りに致します(笑)。





この結婚は政略結婚である、と、真澄は紫織に宣言してした。

「あなたは形式上、速水の妻をうまく演じてくれればいい。僕の心があなたにないのはご存知でしょう。」
「あなたは鷹通グループからの預かり物だ。大事にしますよ。あなたに指一本触れません。安心して下さい。」
真澄は厳然と紫織に言い放った。その冷徹な物言いには、紫織は返す言葉も失っていた。



マヤの『紅天女』上演の準備のため、紫織との新婚旅行も真澄は取り止めた。
真澄は速水邸の独身時代からの自室で、結婚前と何ら変わらぬ生活を過ごし、自宅に仕事を持ち帰り、深夜まで仕事に没頭した。
鷹通グループとの提携で、新しく始めた事業展開に忙殺される日々。
紫織は速水邸内に新築した新居で、ひとり、孤独な「結婚生活」を送ることとなった。



マヤは真澄への想いを胸に秘め、真澄に『紅天女』の上演権管理を任せた。
『紅天女』は大都劇場で上演の準備が進められた。
演出・黒沼、一真・桜小路。新しく編成されたキャスト、舞台スタッフが、舞台稽古に日々取り組む。
初日間近、真澄は大都劇場稽古場を訪れた。
「お眠りなされ、おまえさま…。」
記憶を取り戻しかけて苦悩する一真に、マヤの阿古夜は切ない想いをひた隠して、愛をこめ優しく語りかける。

成長したな…マヤ…。

マヤの稽古をしばらく眺めると、真澄は黒沼に挨拶した。
「順調そうですね。黒沼先生。」
「おう、速水の若旦那。北島がやっと、あいつらしくなった。初日、期待していてくれよ。」
「楽しみにしていますよ。演劇史に名を残す名舞台にして下さい。」
「おうよ!任せとけ!」




 やがて迎えた、マヤによる『紅天女』初日。
全演劇界注目の初日である。ついに、真澄にとっても長年の夢であったマヤの『紅天女』を観る日が来たのだ。
マヤの『紅天女』は圧巻であった。
村娘・阿古夜は、いじらしいほど可憐で清純な乙女であり、観る者だれしもがマヤの阿古夜に恋をした。
神女・阿古夜は神々しく、その威圧感は観客に鋭くその存在を問うてきた。
千年の梅の木の精・阿古夜は、神秘な霊性をその身に纏い、仏をその身に宿す一真と、激しく対立した。
だが、やがて阿古夜は、一真への真の愛に目覚める。
客席は深い海の底のように沈黙していた。
「お討ちなされ、おまえさま…。」
「阿古夜!」
「阿古夜は、おまえさまとともに生き続ける…おまえさまは私の魂の片割れ…。」
「これからは、私はおまえさまと、ずっと一緒じゃ…。」
阿古夜は天界の女となり、世界のすべてを包み込むような、柔和な愛の笑みを一真に向けた。
「許せ!阿古夜!」
桜小路・一真の、渾身の斧が振り下ろされた。
効果音。暗転。一真は脱ぎ捨てられた阿古夜の打掛を涙ながらに抱き締めた。
月の光を思わせる幽玄なスポットライトが、立ちつくすマヤの阿古夜に当たる。
それは、人間の姿とも思えなかった。梅の木の精、そのものであった。
読経の音とともにエピローグが語られ、『紅天女』の緞帳は降りた。


客席は、水を打ったように静謐なままだった。
真澄は我知らず頬を伝った涙を拭うと、真っ先に拍手を贈った。
それにつられて、客席は熱いどよめきとともに、割れんばかりの喝采が湧き起こった。
真澄は座席から立ち上がり、熱い拍手を舞台に贈った。
やがて客席は総立ちとなり、スタンディングオベーションとなった。


ついに、ついに、マヤの『紅天女』を観たのだ…!
真澄は深い感慨にとらわれた。

そんな真澄を、紫織は傍らで、冷ややかな眼差しで見つめていた。


真澄は仕事の合間を縫っては、何度と無くマヤの舞台に足を運んだ。
かつて、月影千草の『紅天女』に魅せられた英介と同じように、真澄もまた、マヤの『紅天女』の虜となった。
マヤの『紅天女』3ヶ月ロングランは成功裡に終わり、マヤは一躍、時の人となった。



 そして、1年。
ある映画監督の受賞パーティで、紫織を伴った真澄は、西園寺と結婚したマヤと再会した。
紫織は偽りの仮面を被り、優雅な社長夫人を演じていたが、マヤは西園寺の腕にとり縋り、蕩けるような笑顔で西園寺を見あげていた。
マヤと西園寺は仲睦まじそうに寄り添い、西園寺は料理を皿に取り分けて、マヤに食べさせてやっていた。
マヤと西園寺は微笑み合い、どこから誰が見ても、幸せを満喫する新婚夫婦そのものだった。

西園寺…くそっ、あいつ…!

真澄は謂われようのない烈しい嫉妬に駆られた。
「真澄さま、あの子も、もう人妻ですわね。真澄さまがいかに想いを寄せても、もう無駄ですわ。」
紫織は刺々しく真澄に囁いた。
「あなたには関係のないことだ。」
真澄は冷淡に紫織を突き放した。

マヤ…マヤ…!マヤは俺のものなのに…!
他の男のものになるなど、俺には耐えられない…!




「ご用ってなんですか、速水さん。こんな所にあたしを呼び出して、何か特別な話でもあるんですか?」
「いいから、車に乗りたまえ。」
真澄はマヤの腕を掴むと、車の助手席にマヤを押し込んだ。
そして車を発進させ、真澄は黙って運転を続けた。
「速水さんったら!何なんですか!?」
真澄は車を夜の人気のない公園に停めると、マヤの座席シートをリクライニングさせた。
そして、素早くネクタイを外すと、手早くマヤの両手を頭の上で縛り上げた。
「速水さん…!何をするの!止めてください!」
「西園寺はよくて、俺は駄目なのか!?」
真澄は助手席のマヤにのしかかると、マヤのセーターを捲り上げ、後ろ手でブラジャーのホックを外した。
薄闇に、マヤの白い乳房が露わになる。
夢にまで見た、マヤの乳房。真澄はマヤを押さえつけると、乳房を揉みしだきながら荒々しくマヤに接吻した。
マヤの歯列を割り、舌をマヤの口腔に差し入れる。逃げるように縮こませたマヤの舌を真澄は捉え、舌を絡める。
マヤのくちびるを強く吸い上げ、真澄はマヤのスカートの下に手を伸ばした。
ストッキングごと、マヤの下着を真澄はとり払う。
片手でマヤを押さえつけながら、片手で自分のズボンのベルトを外し、漲り高ぶった高ぶりを真澄は引き出した。
「いやぁっ!やめて!やめて、速水さんっ!」
真澄はマヤの片脚を高く持ち上げると、一息にマヤをその高ぶりで刺し貫いた。
マヤが悲鳴をあげる。
「マヤ…!きみは俺のものだ…他の男になぞ、渡さない…!」
真澄は烈しい勢いで、マヤを攻め立てる。
マヤが喘ぐ。その喘ぎ声に真澄はいっそう欲情を高ぶらせた。
激情の迸るまま、真澄は存分にマヤの躰を翻弄した。
「速水さん…酷い…こんな…」
泣きながら、切れ切れにマヤが口にした。
「やっと…速水さんを諦めて…西園寺さんと幸せになったのに……」
「西園寺の名など、口にするな!マヤ、きみだって、俺とこうしたいと思っていたんだろう?」
真澄はいっそう烈しく腰を突き上げた。
「嫌っ!やめて、もう、やめて…!」
「駄目だ。」
真澄は欲情の赴くままに、その逞しい持続力でマヤを蹂躙した。
マヤは涙にむせび、喉を詰まらせた。
真澄は乱れた服装のまま、マヤを強く抱き締めた。
そして、飽くことなく、くちびるを奪う。
マヤは歯を食いしばって、真澄の陵辱に耐えた。
真澄は、マヤを攻めたてながら、マヤの官能の短い痙攣を待った。
だが、いくら攻めても、マヤの官能は萎えたままだった。
真澄は苛立ち、焦れて、いっそう烈しく腰を突き上げた。
真澄の官能の大波が、真澄を襲った。
真澄は達することを告げ、俄に腰の律動を速めた。
真澄の精気が、激しい勢いでマヤの内奥に弾けた。
真澄は呼吸を乱し、マヤの躰の上に身を投げ出した。
「嫌い…速水さんなんか、大っ嫌いよ…!」
泣き声で、マヤは真澄を詰った。
マヤは真澄の車の中で、いつまでも泣き続けた。





「速水さん…速水さん!」
「速水さん!しっかりして!」
マヤは酷く魘される真澄を必死で揺り起こした。
「う…う…ん、マヤ、マヤ!」
真澄は寝言でマヤを呼んだ。
「速水さん…!」
真澄は、ようやっと悪夢から醒めた。
「ああ、マヤ…。」
真澄はまだ半分夢の中にいるように、ぼんやりとマヤに視線を移した。
「速水さん、起きて。大丈夫?」
「酷く魘されてたわよ。悪い夢でも見たの?」
心配そうにマヤが真澄の顔を覗き込んだ。
「ああ…マヤ…何時だ?」
マヤはベッドサイドの時計を見た。
「夜中の3時よ。」
「そうか…酷い夢を見た…。」
「汗びっしょりよ。速水さん、シャワー浴びて着替えたら?」
「ああ。そうするよ。」
真澄はようよう起き上がると、寝室付きのシャワールームへ向かった。
マヤも起き出して、真澄の私室の箪笥から着替えを出してくる。
真澄はシャワーを浴びて浴室から出てきた。マヤから着替えを受け取る。
着替えてダブルベッドに潜り込むと、真澄は大きな溜め息をついた。
「珍しいね。速水さんがこんなに魘されるなんて。どんな夢だったの?」
そのマヤの問いに、真澄は大きく溜め息をついた。
「ああ…俺は紫織さんと結婚していて、冷え切った夫婦で、マヤは西園寺と結婚して幸せそうなんだよ…。」
「俺は苦しくて、気が狂いそうだった…。」
その夜は、ちょうどマヤの後援会の会合があった夜だった。
マヤも真澄も西園寺一行と同席し、一席を囲んだ夜。真澄は酒を過ごしたようだった。
深酒が見せた、悪夢だったのだろうか。
「まあ…あたしはちゃんとここにいるわよ。あたしは速水さんの妻よ。速水さん以外、誰も愛していないわ。」
「マヤ…本当だな?マヤ、どこへも行かないでくれ…ずっと、俺の傍から離れないでくれ…。
 俺はもう、きみ無しの人生は耐えられない…。」
マヤは子どもをあやすように、真澄の顔を胸に抱き締めた。
「あたしはどこへも行かないわ。ずっと、速水さんと一緒よ…。」
マヤの胸に顔をうずめて、真澄はその感触を確かめた。
「ここのところ速水さん、忙しかったから、疲れたんじゃない?ゆっくりお休みなさいよ。」
マヤは真澄の髪を愛撫した。
「いやだ…。マヤ、確かめさせてくれ…夢は夢だったと…。」
真澄はマヤのネグリジェのボタンを外していった。
「速水さん…。」
マヤは従順に、真澄に身を委ねた。


繰り返す、愛撫、吐息、熱。
ふたりは性愛を深め、睦言で互いを満たし合った。
真澄は悪夢を振り払うように、マヤの躰に熱意を込めた。
そして、しっかりと唯一つの愛を確かめた真澄は、ようやく安らかな眠りに落ちていった。




幸福は、いつもくっきりと闇色の影に縁取られている。
幸福を手にする前の、あの臆病な懼れ、戦き。怯懦。
かくも、人の心は弱い。
だからこそ、人は愛する人と寄り添って、愛を分かち、愛を確かめ、日々を生きていくのだろう。
真澄も、マヤを得て、幸福な人生を歩み出したばかりの一夜の出来事だった。








終わり








2002/12/5

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