331800番ゲット・天使の羽根様リクエスト:では、リクエストです。“手取り足取り教える真澄様”シリーズ第3弾〜乗馬編〜
 時代劇の撮影で、乗馬シーンがあるので練習しておいて下さい、との連絡を受けたマヤちゃん。
 もちろん乗馬なんて初めての事なので、取り敢えず真澄様に相談します。乗馬は得意な真澄様は、自らマヤちゃんに教えると言い出しました。
 さて、マヤちゃんは無事に馬に乗れるようになるのでしょうか?
 以上が、大体の内容です。
 出来れば、結婚後の設定でお願いします。
 時代劇はTVでも映画でもOKです。内容もお任せします。
 P−chanご希望の‘水薬’も盛り込みたいので、最初は近郊の乗馬クラブで練習し、マヤちゃんがある程度馬に乗れるようになったところで、
 真澄様の発案で、休暇を兼ねて長野の別荘へ行きます。そこで遠乗りへ出かけたところ急に夕立に降られ、普段の疲れなどからマヤちゃん発熱。
 ‘水薬’は苦いからイヤ、なんてかわいい(?)事を言うマヤちゃんに、真澄様が口移しで飲ませてあげちゃう・・・。きゃ〜恥ずかしい(^^ゞ
 こんな感じで書いていただけると、いいかなぁと思います。

※天使の羽根さん、おお第3弾ですね(^^)かしこまりました〜。





 正月の12時間時代劇に出演することが決まり、撮影に入ったマヤに、ディレクターが告げた。
「マヤちゃん、シーンナンバー116。ここで乗馬シーンがあるから、乗馬の練習をしておいてくれ。馬には乗れるか?」
マヤは困惑したが即答で答えた。
「いいえ、あたしは乗馬はやったことがないです。」
「そうか。撮影までにはまだ日があるから、よく練習してくれよ。」
「はい、判りました。」
マヤは北条政子役。、源頼朝が戦に出陣する際に、政子も武装し、頼朝とともに前線に赴く、というシーンである。



 遅く帰宅した真澄を待って、マヤは夫婦のリビングで真澄にことの次第を説明した。
「あたし、乗馬なんて初めてよ。どうしたらいいかしら…。」
「乗馬なら、俺は1級だぞ。よし。俺が教えてやる。次の日曜日、一緒に馬事公苑に行こう。」
「ほんと?助かるわ。いつも速水さんには教えて貰うばっかり。あたしって、ほんとにお芝居しかやってこなかった人間なんだわ…。」
「だからこそ、マヤは俺のファム・ファタールなんだよ。」
「え?なに?」
その聞き慣れない言葉にマヤは真澄に訊き返した。
「運命の女、という意味だ。」
「運命、ね…速水さんと出逢わなかったら、今のあたしなんて無い。あたしは運命に感謝してる…。」
「俺もさ。今ではマヤなしの人生など、俺には考えられない。」
「速水さん…。」
その夜も、新婚のふたりは、熱い夜を過ごした。



 やがて約束の日曜日。
真澄は自分の車を出して、JRA付属の施設、世田谷の馬事公苑にマヤを連れていった。
駐車場は無いので車は近所のパーキングに停めた。
馬事公苑では、初心者向けの一日レッスンのコースも設定されている。
初心者でも乗りやすいように、よく訓練された馬が用意され、あらかじめ装鞍されていた。
マヤは馬事公苑でヘルメットと乗馬靴を借りた。
真澄がレッスンを申し込むと、インストラクターが一頭の葦毛の馬を連れてきた。
「名前はロビン号です。やさしく呼びかけてあげて下さい。」
真澄はインストラクターに自分が指導する旨を告げ、マヤを馬の傍に連れて行った。
「マヤ、馬は繊細な動物だ。馬を驚かせないように、いきなり馬の前に立つことはしない。」
「わあ!馬って、こんなに大きいの!」
マヤは馬体の大きさに驚いていた。馬はよく訓練されて非常に大人しく、黙ってふたりの傍に立っていた。
「これが手綱、これが鞍、これが鐙だ。」
「さあ、マヤ。まず騎乗だ。」
「始めに鐙の長さを調節する。最初は腕の長さを目安に、それより少し長めが良い。」
「次に騎乗。馬の左肩口に立ち、両手綱を引き、左手で握り左足を鐙へとかける。
右手は鞍のキャントル(背もたれ)を持って右足で勢いをつけて、一気に馬にあがる。」
真澄はマヤの左足を持ち上げてやった。真澄の指示通りマヤは苦労して、馬にあがり、鞍に座った。
「きゃあ!高い!」
マヤは馬の背に乗った高さに驚いた。
「馬の首をやさしく叩いてやる。リラックスして。馬に人間の緊張が伝わらないように。」
「う、うん…。」
マヤはこわごわ、馬の首筋を撫でた。
「背筋を伸ばす。背筋を伸ばして胸をはり、前傾姿勢にならないように。
肩や腕の力を抜いて姿勢を保つ。目線はまっすぐ前を見て、馬の頭など下を見ないように。」
「えっと…。」
マヤはどうやら騎乗姿勢を保った。
「鞍にまたがったら鐙に脚をかける。足のかけ具合は、親指の付け根が鐙にかかるくらいだな。」
「次に、かかとを下にさげ、少し前に突き出すようにする。」
「手綱はやや緩みのある状態で持つ。左右の手綱の長さが同じになるよう調節しろ。
手綱を握った拳の位置は、やや手前へともっていく。」
「こう?」
「そうだ。騎乗姿勢がポイントだ。」
「次に、発進。両方の脚の内側で馬の脇腹を圧迫すると馬はゆっくり発進する。もし、脚の圧迫で動かなかったら、踵で軽く馬の脇腹を蹴る。」
マヤは真澄に言われるがまま馬に発進の合図を送った。馬は歩き出した。
「きゃ、動いた!」
真澄は長い引き綱を持って、マヤの操る馬をリードした。
「次は停止。拳を握って手綱を押さえて馬の動きを止める。この時を拳をやや上にあげると、スムーズに停止する。」
「大切なことは、手綱だけに頼らず体全体で使うこと。停止したら、ヨーシと馬に声をかけてやる。」
馬はゆっくり動きを止めた。マヤは馬に声をかけた。
「手綱の使い方だが、左に曲がる時は右の手綱が馬の首に触れるようにする。右に曲がる時はこれと反対のことを行う。」
マヤは額に汗して、馬上で必死にバランスを取った。
「まず、ゆっくりと歩かせてごらん。」
「常歩は、4拍子で歩く。自分の体でその動きを感じ取って、視線は高く、背筋をピンと伸ばす。上体がスムーズに馬の動きについていけるように。」
「初めは無理をせずに、少しずつ慣れるんだ。無理をすればバランスが崩れ、体が硬くなるからな。」
「そんなこと言ったって…。」
マヤは馬上で必死に身体のバランスを取った。
やがてマヤが少し慣れてくると、馬は速足に入った。
「尻を鞍に密着させたまま馬の背から上下の衝撃を、上手く抜くのがポイントだ。」
「とにかくスピードや衝撃に緊張せず、前進の関節を柔軟に保つことが大切だ。尻と腰が主に衝撃を緩衝する役割を担っている。」
「きゃ!早い…恐い!」
「軽速歩の練習をしよう。軽速歩は馬の反撞を体に直接受けることが少ない。楽で恐怖感もなく、初心者にはなじみやすい練習方法だ。」
「馬に乗る楽しみを覚えるためにも良い方法だぞ。」
「そんな、速水さん、立て板に水みたいに言わないでよ。」
矢継ぎ早の真澄の説明にマヤは焦る。真澄は笑ってそれを受け流した。
「軽速歩は速歩の一歩おきに上体を上げ下げするものだ。左手前では右前肢が前に出る時に上体をあげる。」
「また手前をかえる毎に2回ドンドンと反撞を受けて軽速歩の手前(馬の足の踏み出し)も変える。」
「体を軽く前傾し、ふくらはぎを馬体に軽く着け、体が馬の反撞で自然に上げられるのを待つ。」
「上げられると同時に体重を両鐙にかけ、膝と踵を踏み下げるようにして尻を静かに上げる。」
「上体を下ろす場合は、鞍の前方に柔らかく下ろす。上体は、あくまでも馬の動きに合わせる。」
「腰をしっかり伸ばし前傾姿勢を保つように。」
マヤは真澄の的確な指示通りに、馬上で格闘した。
真澄は馬場で、マヤの馬をゆっくり円運動させた。マヤの馬は軽速歩で淡々と歩いていた。
「よし、速足に入るぞ。」
「えっ?」
「マヤ、背筋を軽く伸ばし、上体がスムーズに馬の動きについていけるような正しい姿勢と馬とのコミュニケーションを保つように。」
「馬に合図を送る。合図は騎手からの一方的なものではなく、馬の反応を感じながら行なう。」
「そして上手にできたら馬を褒めてやる。そうすると馬はますます騎手の言うことを聞くようになる。」
「馬とのコミュニケーションと騎手の体のバランスを壊さないように。」
「マヤの合図を受けた馬はその意思に従ってスムーズに方向を変えてくれる。」
「合図は拳や脚を使うが、その動作は断続的に行なうことだ。」
「刺激を与え続けるとその効果がなくなったり、別の働きになってしまう。」
「騎手は方向転換中、拳や脚の刺激に対する馬の反応をキャッチし、タイミングよく、反復しながら何回も合図を送る。」
そうして真澄の指示にようよう従いながら、マヤはどうやら馬を操った。
真澄に言われるがまま馬を操ると、馬はまるで魔法のようにマヤを乗せて軽々と馬場を周回した。

3時間も乗ると、マヤも大分乗馬に慣れてきた。
秋の陽差しが眩しく、馬場を吹き抜ける風は涼やかに爽やかだった。
「よし。停止の合図だ。停止の合図は、馬の頭の動きに随伴していた拳の動きを一歩毎に小さくして、馬の頭を止めることにより停止する。」
「非常に悪い止め方は、一度に手綱を引っ張って止めようとすること。これはやってはいけない。」
真澄の言葉通り、マヤは馬を停めた。
「馬の降り方だ。まず、きちんと馬が止まったことを確認する。次に左足を鐙から外し、右足の脇に持ってくる。」
「次に両手を鞍において、腹を突き出すようにして自分の体を馬の体から離して馬の左側に降りる。」
真澄の指導どおり、マヤは馬から降りた。
「ロビンちゃん、ありがとうね。」
マヤは言って、やさしく馬の頸を叩いた。
「ああ、疲れたぁ。」
「俺も久々に乗るかな。マヤ、よく見ているといい。」
真澄は言うと、マヤからヘルメットを受け取り、さっと馬に跨った。そして、軽々と馬を操り、右に左に、颯爽と馬場を駆け抜けた。
「わあ、速水さん、上手!」
マヤは歓声をあげた。
「来週、もう一度練習に来よう。今度は俺と一緒に走れるようになろうな。」
真澄は優しくマヤに微笑んだ。
マヤはその端正な微笑みに、あらためて見惚れた。


 翌週も、日曜日、マヤは真澄に連れられて馬事公苑の馬場を訪れた。そして、どうやら真澄と一緒に馬を駆ることができるようになった。
ドラマの撮影では実際に馬を駆るシーンは無いのだが、せっかく覚えた乗馬である。マヤは真澄に教えられた乗馬を楽しんだ。
真澄と結婚して、マヤは様々な人生の楽しみを教わるようになり、役者としての人間の幅も豊かに広がるようであった。




「マヤ、次の週末、長野の別荘に行かないか?八ヶ岳高原牧場で馬の遠乗りができるぞ。」
「そうね。ここのところあたしも忙しかったから、2日ばかりお休みを取るわ。」
「よし。決まりだ。久しぶりに信州へ行こう。」
そして、ふたりは久々の信州行きを決めた。



 その週末。
早朝から真澄は車を出し、馬事公苑で揃えた乗馬用の服装一式とヘルメットをトランクに積んで、ふたりは長野の別荘へ出発した。
車は軽快に中央道を走り、諏訪インターからビーナスラインを通り抜け、真澄の長野の別荘に到着した。
別荘番の山下がふたりを出迎える。
山下の心尽くしのブランチを食べ、乗馬服に着替えると、ふたりは八ヶ岳高原牧場に向かった。

乗馬受付で馬を借り、ふたりは高原の乗馬に出た。
秋の透明な陽差しは美しく照り輝き、野を吹き渡る風はやや冷ややかで、ふたりは信州の秋の自然を馬上で満喫した。
ふたりは丘を駆け、草原を巡り、真澄は草を拾って草笛を吹いた。
遠くに八ヶ岳を遥かに眺望し、澄み渡る信州の大空のもと、ふたりは遠乗りを楽しんだ。


 さあっと、冷たい風が吹き、俄に空に重く雲が垂れ込めた。
「おっ、これは一雨くるぞ。そろそろ戻ろうか、マヤ。」
「そうね。随分遠くまで来ちゃったね。」
変わりやすい山の天候は、気まぐれに夕立を降らせた。
ふたりは速足で馬を駆り、牧場受付に戻る頃には、びしょぬれに濡れそぼってしまっていた。
マヤは立て続けにくしゃみをした。
「おい、大丈夫か?」
「うん、ちょっと寒気がする…。」
「早く別荘に戻ろう。着替えないと。」


 真澄はマヤを連れて足早に車に乗り込むと、別荘に戻った。
ふたりは別荘で濡れた乗馬服を干して乾かし、持参した服に着替えた。
「なんだ、マヤ、赤い顔をして。」
「なんだか熱っぽいわ…。」
「どれ。」
真澄はマヤの額に手を当てた。
「確かに熱があるな。ここのところの疲れが出たか。」
真澄は山下に連絡して、医者の薬を手配させた。
夕食の支度を整え、山下が持ってきたのは、水薬の瓶だった。
「真澄さま、お食後にこれを3目盛りずつだそうです。」
「判った。ありがとう。」
「マヤちゃん、お大事にね。」
「はい、おばさん。」
山下夫婦は引き揚げていった。

「マヤ、食欲はあるか?」
「ううん、あんまり…。」
「少しでも食べるんだ。じゃないと薬が飲めないぞ。」
マヤはだるそうにダイニングのテーブルにつき、もそもそと箸を動かした。
風呂吹き大根の味噌をよけて、大根だけをマヤは食べた。
薄味の大和煮は、なんとかマヤにも食べられた。
旬の秋刀魚も、半分ほど箸をつけただけで、マヤはテーブルを立った。
そのままマヤはリビングのソファに倒れ込む。
真澄はさっさと食事を済ませると、水薬をマヤのもとに運んだ。
「さあ、マヤ、薬だ。」
「水薬?嫌よ。苦くて飲めないわ。」
「子どもみたいなことを言うんじゃない。薬を飲まないと熱が下がらないぞ。」
「だって…。」
「しかたのない奥さんだな。」
真澄は苦笑いすると、水薬の瓶を開け、目盛り3つ分を自らの口に含んだ。
そして、マヤを押さえつけると、口移しで、マヤに薬を飲ませた。
「んっ…!」
真澄に舌を押されて、マヤは思わず薬を嚥下していた。
そのまま、真澄はマヤと舌を絡め、マヤの熱いくちびるを貪った。
「あん…」
甘い吐息がマヤのくちびるから漏れる。
真澄のくちづけに宥められて、マヤの疲れた神経も穏やかに休まるようだった。
真澄はくちびるを離すと、マヤの顔を覗き込み、ひそやかに笑った。
「なあに?あたしの顔、何かついてる?」
「いや、昔、こうして口移しで水薬を飲ませたことがあった…。」
「あたしが高校生の時でしょ。でもあたしは意識が無くて、知らなかったんじゃない。」
「あの頃から、マヤ、俺はきみを愛していたんだ。」
「速水さん…。」
「今では、誰にも邪魔されることはない。俺の妻だ。」
「マヤ、薬が効くまで、少し休むといい。熱が下がったら風呂に入って寝よう。」
水薬は消化吸収が早く、早くもマヤは、ソファでうとうとと、浅い眠りに落ちていた。
真澄は寝室から毛布を運び、マヤにかけてやる。
リビングの敷物にごろりと横になると、真澄は眠るマヤを、そっと見守った。


マヤの寝息が穏やかになった。真澄はマヤを起こした。
「うん…速水さん…今何時?」
「10時半だ。熱は?」
真澄はマヤの額に掌を当てる。
「よし、下がったな。風呂にはいって汗を流しておいで。もう寝よう。」
「身体の節々が痛いわ…。」
「風邪の引きはじめだな。さあ、マヤ。」
真澄に促されて、マヤは熱いシャワーで汗を流し、ネグリジェに着替えた。
「マヤ、先に寝ていていいぞ。俺も風呂に入ってくる。」
マヤは二階の寝室に上がった。じきに真澄も風呂からあがって、ベッドのマヤの横に潜り込む。
「寝る前にもう一度薬を飲んでおくといい。」
真澄はふたたび口移しでマヤに薬を飲ませた。
マヤは真澄の腕枕に寄り添い、真澄はマヤを片腕でしっかり抱いて、ふたりは眠りに落ちていった。




 翌朝は遅くまでふたりはゆっくり眠った。
起床して洗面を済ませると、山下の用意した朝食をとり、真澄は水薬の最後の目盛りを口に含み、マヤに飲ませた。
「調子はどうだ?マヤ?」
「うん、もう大丈夫よ。」
「今日はこのまま真っ直ぐ帰ろう。家でゆっくりするといい。」
「ごめんなさい、せっかくの乗馬だったのに、熱なんか出しちゃって…。」
悄然とマヤが項垂れた。
「いいさ。また機会があれば、乗りに来よう。健康が第一だ。」
優しく真澄は受け流した。
そのまま、ふたりは車中の人となり、一路、東京へ戻った。


マヤは旅装の片づけもそこそこに、真澄に促されて寝室に入り横になった。
真澄はベッドに腰掛け、眠るマヤの髪をそっと愛撫してやった。




 やがて、北条政子の決戦臨場シーンの撮影の日。ロケ現場にマヤは赴いた。
撮影用に用意された馬の頸を、優しくマヤは叩いてやる。
真澄の稽古の甲斐あって、マヤは馬上の姿も美しく決め、清廉潔白、凛烈たる北条政子の演技を成功させた。
「はい、カーーーット!」
「マヤちゃん、良かったよ!」
源頼朝役の役者が、マヤに握手を求めた。
「さすが、『紅天女』役者だ。惚れ直したよ。」
「ありがとうございます!」
マヤは晴れやかに笑って、握手に応えた。
真澄のサポート、真澄の支えあってこそ、マヤの充実した芸能生活があるのだ。
あらためて、マヤは真澄の愛の深さに思いを馳せた。


その日、帰宅した真澄に、マヤはロケの様子を喜々として語った。
真澄は微笑みながら、それを聞いてやる。
「また、春になったら、乗馬に行こう。春の遠乗りもいいぞ。」
「速水さん…、あたし、速水さんと結婚して、ほんとに良かったわ。あたし、幸せよ…。」
マヤはソファの真澄の胸に凭れかかった。
「マヤの幸せが、俺の幸せだ。いくらでも幸せにしてやる、マヤ…。」
「速水さん…愛しているわ…。」
「ああ。マヤ、俺もだ。」
睦言は優しく、ふたりの心に滲みて行った。




 その年の瀬、マヤは大晦日まで仕事が入っていたが、真澄は速水邸でゆっくりマヤの演じる北条政子のドラマを見た。
馬上のマヤは、キリリと姿勢も美しく、端麗な騎乗姿だった。
真澄はひとり、先の秋の日の乗馬の特訓を思い出し、満悦至極だった。









終わり









2002/11/27

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