319500番ゲット・Tacco様リクエスト:いつも楽しく拝見しております。
 今回、偶然にもきり番をふんでしまい、何だか未だ、自分の幸運が信じられません。
 こういうことってあるんですねぇ・・・(嬉しいぃ!)
 さてさてリクエストなんですが・・・
 二番煎じになってしまいますが、またもや真澄様に浮気していただきたいと思います。ほんの泥酔ついでの出来心でもよし、
 ライバル会社の策略に嵌り、薬物をしこまれるもよし、とにかく、見知らぬ女が隣で寝ている状況に、
 慌てふためく真澄様を是非みてみたいんです。
 当然このことはマヤちゃんの耳にもはいることとなり、離婚届一枚残して家出してもらいます。
 今後の展開や、ディテールはすべてユーリ様におまかせします。
 真澄様の史上最悪な1日、ユーリ様の耽美ワールドでどう料理されるのか楽しみにしていますね。

※Taccoさま初めまして。いつもありがとうございます〜m(_ _)m





 その日、深夜を回っても、真澄は速水邸に戻らなかった。
さすがのマヤもそぞろ心配になり、社長室の直通電話に電話をかけるが、受話器の向こうでは呼び出し音が虚しく響くだけだった。
翌朝はマヤは早くからドラマ撮りのロケに出かける予定もあり、いつまでも待ってはいられないので、ワインを飲んで、無理矢理就寝した。
だが翌朝になっても、真澄は帰宅していなかった。
(どうしたのかしら…速水さん…)
家の者に、真澄から連絡があったか、マヤは尋ねた。
真澄からは何の連絡もないという。
マヤは不安を抱えながら、早朝ロケに出かけて行った。



 その朝。真澄は、酷い頭痛と手足の異様な重さで、目を覚ました。
身体が思うように動かない。
部屋の中には、何か香でも焚いたような残り香がけぶっている。
重い瞼をなんとか開くと、そこは見知らぬ天井。
真澄が傍らを見やると、見知らぬ女が全裸にシーツを纏って眠っている。
真澄も全裸で、あたりに衣服が脱ぎ散らかしてあった。
(な、なんだ!?これは!?)
(一体どうしたというんだ!?)
(どういうことだ、これは!?)
真澄は必死に記憶を手繰り寄せた。
昨夜は…確か松竹のパーティに招かれて、二次会で松竹の俳優、女優何人かと飲んでいた筈…。
そこからあと記憶が、プツリと切れてしまっている。
「う…。」
真澄は重い体をなんとか起こして、眠っている女を揺り起こした。
「おい、きみ、起きろ!」
女は気怠そうに目を開いた。
「う…ん、あら、社長、早いお目覚めね。」
そして女は半身を起こした。
「その様子じゃ、まだ薬が切れていないようね。毒消しを差し上げるわ。」
言うと、女は裸のままベッドから降りて、バッグから小瓶を取り出した。
そして、中の液体を口に含むと、ベッドの真澄にのしかかり、口移しで真澄に液体を飲ませた。
「うっ…やめろ…。」
真澄はかろうじてその液体を飲み下した。
すると、身体の重さは嘘のようにかき消えていった。
「いったい、何だ!?きみは松竹の女優か!?」
女は鼻先でクスリと笑う。
「そうよ。速水社長。あなたとは一度寝てみたいと、かねがね思っていたのよ。」
「昨夜のあなたは素敵だったわ。私のことを、マヤ、なんて呼んだりして。」
言って女は含み笑いをした。
(俺は…この女を抱いたのか!?まさか…!?)
真澄には全く身に覚えがなかった。
「そろそろ、引き揚げましょ。社長はお仕事でしょう?」
媚びを含んだ女の声音に、真澄は言葉にならない嫌悪感を覚え、吐き気すら催した。
女はシャワーを浴び、化粧を直している。
真澄は時計を見た。午前7時。今からなら、一旦自宅に戻って出社しても間に合うだろう。
真澄は取りも直さず、衣服を着た。が。
鏡で着衣を確認すると、首筋に赤くキスマークがくっきりと残っている。
(なんとうことだ!くそっ!)
(この速水真澄ともあろうものが、女に一服盛られるとは…!)
女は真澄の腕にしなだれかかって歩き、ホテルを出た。
そのツーショットを撮影している者がいた。



 午後、マヤが早朝ロケから速水邸に帰宅すると、家の中が騒然としている。
「どうしたの?お客様?」
「奥様、お帰りなさいまし。それが、大変なお客様で…。」
昨夜の真澄に関することだろうか。
「私が出ます。」
マヤは口をきりりとひき結ぶと、応接室に向かった。
マヤが応接室に入ると、ソファに座った女が振り返った。
「あら、奥様、お待ちしておりましたのよ。」
女優がつん、とすまして、マヤに声をかけた。
「あたくし、松竹の安芸紀子と申します。」
マヤは女優の正面に座った。
「速水マヤです。主人のことで何か?」
女優は、バッグから、写真を一枚、取り出した。
今朝方、真澄がホテルから出てくるところを撮影したもので、安芸が真澄の腕に寄り添っている。
マヤはその写真を一目見て、さっと蒼白になった。唇を噛みしめる。
「これを写真週刊誌に売りつけてもよろしいのよ。それとも、口止め料を頂けるのかしら?」
勝ち誇ったように、女優が高らかに笑う。
「…いくら、お望み?」
「一千万。」
軽々と女優は言ってのける。
「お高いわね。主人と相談しなければ。」
「返事は急いでちょうだい、奥様。さもないと、いつでも、こちらで先手を打たせて頂くわよ。これが私の連絡先。」
名刺をテーブルに置き、女優は言い捨てると、席を立った。

マヤは身体の震えを押さえて、急遽真澄に連絡した。
そして、電話でことの次第を伝えた。
“安芸紀子か。判った。マヤは何も心配しなくていい。すぐに聖に裏を取らせるから。”
マヤは黙って電話を切った。



 マヤは区役所に車を出させた。
そして、離婚届の用紙を手に入れると、速水邸にとって返し、離婚届に記入し、捺印すると、真澄の書斎の机に置いた。
結婚指輪も外して、離婚届の上に置く。
書斎の机には、女優の置いていった写真と連絡先の名刺も、一緒にまとめておいた。
マヤは私室で急いで荷造りを済ますと、こっそりと速水邸を抜け出した。
夕刻、あてどなく、マヤは街を彷徨った。



 真澄が帰宅すると、マヤの姿はなく、家の者も、いつ出ていったのか、気づかなかったという。
真澄は書斎の机を見ると、今回の騒動の一連の書類が並べてあった。

(離婚!?馬鹿な!?冗談じゃない!)

真澄はマヤの用意した離婚届を思い切り破り捨てた。
そして、じりじりしながら、聖からの連絡を待った。

深夜近く、ようやく真澄の書斎の電話が鳴る。
「聖か!?」
“はい、真澄さま、お待たせしました。”
「それで、どうなんだ!?」
“女には自白剤を使って、吐かせました。真澄さまは潔白です。”
“女の自宅に、覚醒剤使用の根拠もとれました。いつでも検挙できます。”
“今から、女の自白したテープをお届けに上がります。”
「そうか…。ご苦労だった。では、家の勝手口で待っている。」
“かしこまりました。すぐ参ります。”

30分ほどで、聖が到着した。
真澄は勝手口でテープと覚醒剤を撮した写真、真澄のツーショットのネガフィルムとを受け取った。
「今度はマヤが行方不明だ。心当たりを探してみるが、もしもの場合は、聖、またよろしく頼む。」
「かしこまりました。マヤさま、無事見つかりますよう。」
「ありがとう。いつも済まないな。」
「ご連絡はいつでもどうぞ。では僕はこれで。」
「ああ。ご苦労。」



 真澄は書斎に戻り、聖が吐露させたというテープを回してみた。
“まったくさあ、うまく薬を飲ませたはいいけど、量が多過ぎたらしくて、せっかくのチャンスだっていうのに熟睡されちゃったわ。”
“媚薬を焚いても、うんともすんとも言わない。まるで役立たず。口惜しいから、キスマークの一つでもつけてやったわよ。”
“大都から一千万を引き出して、仲間と山分けしてヤクを買おうと思ってるのよ。”

良かった…俺は眠っていただけか…。
これは、マヤにも聞かせないと。
真澄は心底安堵した。

さて、マヤは何処へ行ったんだ?

想像を凌駕するマヤの行動の突飛さは、真澄はよくよく承知している。
だが、まずは手堅く、青木麗の自宅へ連絡してみた。
「もしもし、ああ、青木くんか。夜分に済まないな。」
“マヤですか?来ていますよ。”
「そうか!すぐ迎えに行くから、閉じこめておいてくれ。」
“了解です。”
真澄は自分で車を飛ばして、麗の自宅へ駆け込んだ。



「ほら、マヤ、速水さんだよ。」
「嫌!速水さんなんか、大っ嫌い!」
泣き腫らした目で、マヤは真澄を睨んだ。
「誤解だ!マヤ!俺は眠っていただけなんだ!うちへ帰ろう。さあ!」
「青木くん、助かったよ。ありがとう。」
「マヤ、ちゃんと仲直りするんだよ。」
言うと、麗はマヤを荷物ごと玄関から押し出しガチャリと鍵を掛けた。
「麗!麗!」
マヤは麗のマンションのドアをドンドンと叩いた。
「マヤ、夜中だぞ。」
言うが早いか、真澄はマヤの荷物を持ち、軽々とマヤを抱き上げるとエレベータを下り、車の助手席にマヤを押し込んだ。
そして、マヤに有無を言わせずさっさと車を発進させた。
マヤは押し黙ったままである。気まずい雰囲気が、車を満たした。


速水邸に着くと、真澄はマヤを助手席から引っ張り出し、荷物ごとマヤを抱き上げた。
「離してよ!嫌だったら!」
マヤは手足をバタつかせた。
真澄は黙って書斎へマヤを連れていった。
そして、くだんのテープをマヤに聞かせる。
「マヤ、おれは潔白だぞ。断じて、マヤ以外の女なぞ、抱いたりしない!」
「松竹には、誘拐と恐喝と覚醒剤所持で、警察沙汰にさせてもいいんだ。」
マヤは一日の緊張の糸がいっぺん解け、ポロポロと涙を零した。
「心配したんだからぁ…!」
マヤは真澄の胸をポカポカと叩いた。
「悪かった。俺の油断だ。マヤには心配かけたな…。」
真澄は優しくマヤを抱き締めた。
そして、マヤの長い髪の一房をとって、そっとくちづける。
真澄はマヤにくちづけようとしたが、マヤはプイと顔を背けた。
「そのキスマークが消えるまで、あたしに触らないで!」
マヤの女心も、尤もだろう。
「ああ…そうだな。そうしよう。」
真澄は優しく肯んじた。
「明日もまたロケだろう?風呂に入って、もうお休み。」
「…そうする。」
マヤは言葉少なに、私室へ消えた。
その夜は、マヤは真澄から離れて、ダブルベッドの隅に身体を丸めて眠ってしまった。



 翌日。真澄は松竹の社長にアポイントを取り、真澄自ら直々に松竹に出向いた。
そして、安芸紀子の起こした騒動の顛末を克明に説明し、証拠のテープを聴かせ、覚醒剤の写真を見せた。

「社長、いかがされますか。こちらとしては、然るべき場所に出て、正当に争ってもいいんですよ。僕の名誉毀損も甚だしい。」
「営利誘拐、不正薬物使用、恐喝、覚醒剤所持。検挙するのに証拠は十分です。」
真澄の恫喝に松竹の社長は心底恐縮しきって、震え上がった。
「速水社長、申し訳ない…ウチの女優も、ウチの大事な商品です。どうか表沙汰にするのだけはご勘弁願いたい…。」
「安芸には1年、謹慎させますから…。どうか、このことは内密に…。」
「そうですか。判りました。では、この話はここだけの内密に伏せておきましょう。」
「助かります!速水社長!」
松竹の社長は、真澄に深々と頭を下げた。
「あとでウチの者に慰謝料を持たせますので…。」
真澄は頷いて釘を差した。
「社長、覚醒剤にはくれぐれもお気をつけ下さい。いつボロが出るか、判りませんからね。」
「重々、承知しました。」
「では、僕はこれで。」
真澄は松竹の本社を辞した。


その日の午後、松竹社長秘書が、見舞金と銘打った口止め料の小切手を大都芸能本社に持参した。
額面800万。
これでマヤに着物の帯でも新調してやるか…。だが、金の出所を知ったら、マヤは嫌がるだろうな…。
真澄はマヤのご機嫌取りに、その800万を使うことにした。




 一週間もして、真澄の不名誉な首筋の痕も綺麗に消えた。
真澄の注文した800万の西陣織の帯も届いた。
真澄は帯を持って帰宅した。
今日はマヤの方が帰宅は遅かった。
「ただいまぁ。ああ、疲れたぁ。」
マヤは真澄の待つ夫婦のリビングにやってきた。
「マヤ、ほら、見てご覧。この間のお詫びだ。西陣の帯だぞ。」
マヤは箱から出された帯を見た。。
「わあ、素敵!高かったでしょう?」
「マヤを心配させた。これくらい、たいした額じゃないさ。」
豪華な金糸銀糸にとりどりの色鮮やかな紅梅色が配された西陣の帯に、マヤはうっとりと見入った。
「素敵…ありがとう、速水さん!」
「奥方のご機嫌は直ったかな?」
「あたしも、いつまでも子どもじゃないわよ。速水さんがこうして気配りしてくれる。嬉しいわ。」
マヤは喜々として帯を広げてみた。
「梅の染小紋に合いそうだわ。」
「気に入ってもらえて良かったよ。マヤ、風呂に入っておいで。もう寝よう。」
「はい。」
マヤは帯を私室の桐箪笥に大事そうに仕舞い、浴室に消えた。

寝室の灯りを絞り、真澄はマヤを呼んだ。
「おいで。マヤ。」
一週間待たされた分を取り返すように、真澄は情熱こめて、マヤにくちづけた。
「あ…ん、速水さん…」
「マヤ…愛している…」
「マヤ、おまえだけだ…」
「速水さん…」
真澄の巧みな愛撫が延々と続けられた。
マヤの口から“愛しているわ”と聞くまで、その夜、真澄はマヤを解放しなかった。



 長い愛撫と濃い媾いの末、マヤは夢中で真澄に睦言を告げた。

こうして、マヤを巻き込んだ真澄の災難は、無事決着を見た。
真澄は今回には心底懲りて、女優と飲みに行く席には、必ず黒服の部下を待機させるようにした。




「空騒ぎで終わって良かったよ。」
真澄は後日、水城に、しみじみと告げていた。







終わり







2002/11/18

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