316000番ゲット・HUYU様リクエスト:時は江戸時代で・・・
 大阪の大商人の息子真澄様に縁談のお話が。政略結婚ですね
 お相手は京の公卿の令嬢マヤ姫(大商人と公卿の結婚てあったのかしら・・・)
 とにかくマヤ姫はイヤでいやで仕方ないのですが真澄様はマヤに興味を持ちます
 初夜は強引に組み伏せてしまい、そののちマヤは拒絶反応を繰り返します
 そこで真澄様本領発揮。どうしたかはユーリ様にお任せいたします
 そしてその後は二人愛を育むということで。
 心理描写の方も加えていただけると嬉しいです。その他は全てユーリ様にお任せいたします


※ということで、この楽しいリクエスト通りに参りたいと思います。




 今は昔。
時は大江戸、元禄も華やかなりし頃。


 浪速の豪商、速水家のもとに、京の公卿・冷泉家から使いの者があった。
浅香宮家のマヤ姫を、速水家に嫁がせたい旨の使いであった。
おりしも速水家には、跡取りの長子・真澄がちょうと結婚の年頃を迎えていた。
マヤ姫の降嫁とは、速水家にとって願ってもない縁組みである。
速水家の当主英介は、真澄を居室に呼んだ。

「父上、お呼びですか。」
「おう、真澄、縁組みの話じゃ。おまえに京の浅香宮家の姫を娶せよう。」
「京の公卿ですか。それはまた。」
「公卿とはいえ、御上からの禄だけではやっていけないのであろう。浅香宮家といえば、落ちぶれかかった公卿じゃ。」
「この速水の家の援助を求めての縁組みであろう。」
「さすれば相手の姫とは?」
「マヤ姫じゃ。おんとせ16歳。真澄、おまえには似つかわしい年頃じゃ。」
「早速、輿入れの支度を整え、宮家に使いを出す。吉日を選んで、婚儀じゃ。おまえも心しておくがよい。」
「かしこまりました。父上。」
公卿の深窓の姫か…。俺にも運が向いてきた。真澄は俄然、婚礼が楽しみに思えてきた。



「嫌じゃ!浪速のあきんどなど!」
「姫、お聞き分けくださいまし…。この浅香宮家の姫さまには相応しい財の持ち主でございまする。」
女官が懸命にマヤを宥める。
「相応しくない!身分違いじゃ!」
「ほうら、ご覧下さいまし、見事な絹の花嫁衣装。婚儀の支度も、すっかり速水家が設えてくださいましたのよ。」
「この浅香宮家の体面を維持してゆくためにも、速水家の援助は欠かせないのでございまする。」
「わたくしはこの宮家の犠牲か…?」
「冷泉家の和宮さまがこの婚儀を薦めてくだされました…。姫、速水家は浪速でも一、二を争う名家、姫はきっとお幸せになりまする。」
「あきんどの家などで、幸せになどなれぬ!嫌じゃ…!」
「輿入れは来月10日。姫様、お心得あそばしませ。」
「ええい!聞き分けなどならぬ!下がれ!」
「姫様…」
女官は心許なげに姫の部屋を辞していった。
「えい!こんなもの!」
マヤ姫は婚礼衣装を投げやった。
降嫁の憂き目に遭った我が身が嘆かわしく、マヤ姫は婚儀の間近まで、泣き暮らした。



 やがて、輿入れの日。浅香宮家では、輿入れの儀を終えた。
「父上様、母上様、末永くお健やかであらせられませ。」
マヤ姫は深々と礼をした。
「マヤ姫、速水の家の奥となり、幾久しゅうお幸せに。速水家はこの浅香宮家の大事な後ろ盾、頼みましたよ。」
母御が声をかける。
「この浅香宮家の姫として、恥ずかしゅうない振る舞い、忘れてくれるな。」
父宮もマヤ姫に名残りの言葉をかける。
「おさらばです…」
宮家じゅうの見送るなか、婚礼衣装のマヤ姫は輿に乗り、速水家へ嫁いでいった。



 速水家では、大広間に親族一同を集めて、盛大に婚礼の儀が執り行われた。
目出度節が高らかに謡われ、真澄とマヤ姫は三三九度の契りを交わした。
真澄は綿帽子の角隠しに隠され俯いたマヤ姫の横顔を横目で何度も垣間見たが、はっきりとはそのかんばせは見えなかった。
(いいさ、閨になれば…)
真澄は初夜を密かに楽しみにしていた。
豪奢の贅を尽くした宴が延々と続いた。
マヤ姫は真澄と並んで終始俯き、ピタリとも動かず、繰り広げられる宴も、その目には見えていないようだった。

やがて宴の時は終わり、マヤ姫は姫付きの乳母、女人に付き添われて、宛われた私室へ下がっていった。
マヤ姫は湯浴みを施され、寝屋に案内された。

新婚の新床が、マヤ姫の目の前にある。
マヤ姫は床の脇に正座して、じっと黙していた。
(あきんどごときの思うままになど、なるものか…!)
マヤ姫は頑なに心を決めていた。


 深夜、やがて襖が開き、真澄が浴衣を着て寝屋にやってきた。
「姫、待たせたな。こっちをお向き。」
マヤ姫は黙ったまま俯いている。
真澄はマヤ姫の傍に腰を下ろすと、掌でマヤ姫の顔を正面に向かせた。
「おお、これはまた愛らしい姫ではないか。苦しゅうない。もそっと近う。」
「…嫌じゃ。われは宮家の姫なるぞ。あきんどごときの命には従わぬ!」
「これはまた強気な姫じゃ。だが、もう、婚儀は済んでおる。姫はもうわれの奥じゃ。近う寄れ。」
「嫌じゃ!」
「誇り高き姫よの。そこがまた堪らぬ。愛いわ。」
言って、真澄はマヤ姫を抱きすくめた。
「あっ!」
真澄は新床にマヤを組み伏せると、マヤ姫の抵抗もものともせず、強引に閨の営みを始めた。
マヤ姫の寝間着を解いて全裸にし、マヤ姫を自分の身体でがっちり押さえ込むと、マヤ姫の両腕を姫の頭の上に押さえつけた。
「無礼者!」
マヤ姫はあくまで抵抗を試みる。
「姫、いくら公卿の姫君とはいえ、閨のたしなみは言いつかっておろう。大人しゅうせい。」
真澄は言い放つと、マヤ姫をその高ぶりで貫いた。
「ああっ、い、痛い!」
「初めだけじゃ。そのうち良くなる。」
「痛い、痛い、やめておくれ!」
「これで姫は名実共に俺の妻じゃ。」
真澄は思うさま、マヤ姫を蹂躙した。そして、満足すると、早々に寝入ってしまった。
マヤ姫は自分の分の布団に潜り込み、躰の痛みと心の屈辱に、とめどなく涙で枕を濡らした。



 翌日から、速水家でのマヤ姫の生活が始まった。
宮家とは全く勝手が違う。
豪奢な屋敷。贅沢な食事。高級な衣料。大勢の奉公人。
マヤ姫は、まさしく掌中の宝のごとく、大切に扱われた。

 やがて閨の時がくる。マヤ姫は昨晩の真澄を思い出し、決して二度と真澄の意のままになるものかと心を決めていた。
寝屋の襖を開けて、真澄が入ってくる。
真澄はマヤ姫を抱きすくめようと、両腕を伸ばした。
「待ちや!殿御の思い通りにはさせぬ!われに指一本でも触れたら、われはこの懐剣で喉を突く!」
マヤ姫は懐から懐剣を取り出した。
「姫、物騒な真似はよしなさい。さ、その剣をこちらへ。」
「駄目!われはもう寝ます。」
言うと、マヤ姫は並んで敷かれた2組みの布団の一つに潜り込み、真澄に背中を向けて、懐剣を握り締め、早々と寝入ってしまった。
真澄は肩すかしを食らい、呆気に取られた。
(しかたのない姫君だな…)
真澄は早々に気分を切り換えると、布団に入って、自分も眠りについた。



 その翌日も、翌々日も、夜には同じ諍いが繰り返された。
さすがの真澄も痺れを切らし、一計を案じた。
あらかじめ寝屋に、香を焚かせた。
蘭麝待ほどではないが、外つ国から取り寄せた、媚薬の特効のある香である。
速水家ならではの宝物の一つであった。
極上の伽羅の味がし、なにか肉体の官能を揺さぶるとしか言えない、貴重な香である。
マヤ姫がたっぷりとその香にまみれた頃合いを見計らって、真澄は寝屋に入った。
「姫、気分はどうじゃ。」
「ああ…だるい…おかしな気分じゃ…。」
真澄はマヤ姫からやすやすと懐剣を奪うと、寝屋の隅に投げ捨てた。
「もっといい気分にさせてやろう…」
真澄はマヤ姫を布団に横たわらせると、ゆっくり時間をかけて、マヤ姫の全身に丁寧な愛撫を施した。
「あ…あ…」
「姫…われが教えて差し上げよう、女の悦びを、な。」
真澄は懇切丁寧な愛撫をマヤ姫に施していく。
媚薬が功を奏して、マヤ姫は恍惚の境地に導かれた。
マヤ姫の、白磁のような、しみひとつない肌理の詰んだ肌。
真澄はマヤ姫の若い躰を存分に愉しんだ。


それから一週間、香が焚き尽くされるまで、真澄は寝屋に香を焚かせた。
マヤ姫の懐剣は真澄の私室の宝物庫に、しっかりと鍵を掛けて仕舞われた。
香も焚き尽くされる頃、寝屋で、マヤ姫は真澄を待っている風情だった。
「ああ…殿…われは殿が慕わしゅうてならぬ…」
「今夜もわれを愛してくだされ…」
「姫…ようやっとそのお言葉が聞けたな…嬉しいぞ。」
「どれ…今宵も存分に愛し合おうぞ…」
「殿…」
真澄は丹念に、マヤ姫を「おんな」に造型していった。



 姫の私室には、毎日真澄から、贈り物が届く。
堺から取り寄せた、外つ国からの珍しい硝子の瓶。京の螺鈿細工の櫛。江戸名物の干菓子。
商家ならではのそれらの品々を、マヤ姫は毎日心待ちに楽しみに待った。
真澄から女の悦びを教えられ、マヤ姫はいつしか真澄を慕わしく思うようになった。
殿は、われを心から愛してくださる…われは幸せじゃ…。
あれほど輿入れを嫌がったのが、今では夢のようだった。
真澄もまた、「おんな」に開花したマヤ姫の可憐な美しさを心底から愛した。
夜ごと、ふたりは愛を交わし、愛を契った。
「殿…」
「姫…」
「殿…お慕いしておりまする…」
「姫…そなたが愛おしゅうてならぬ…」
真澄の腕の中で、マヤ姫は愛に震え、真澄に可憐に縋りついた。



 そして数ヶ月。
マヤ姫は身体の異変に気づいた。
薬師に診せると、懐妊とのことだった。
速水家、一家あげて、祝宴が催された。
浅香宮家にも、盛大な祝いの品々が届けられた。

寝屋で、真澄は姫を優しく抱き締めた。
「姫…おんみお大切に、いい子を産んでくれ。」
マヤ姫はふと、不安そうに真澄に尋ねた。
「殿…、われが懐妊すると、殿は側女を置くのか…?殿御は妻が懐妊すると、側女を置くと聞く…。」
真澄はそんなマヤ姫が愛しくてならず、そっとマヤ姫を抱き直しながら、優しく答えた。
「姫…俺には姫だけが愛する奥じゃ。側女は置かぬ。産の前まで、ずっとこうして、ふたりで過ごそうぞ。」
「殿…嬉しい…!」
今では、泣いて嫁ぐのを嫌がったのが、遠い日の幻のようだった。
真澄との愛を育み、マヤ姫はいっそう美しく輝いた。



 やがて、月足りて、十月十日。
マヤ姫は無事、立派な男児を出産した。
「跡取り誕生じゃ!目出度い!」
「姫、よくやってくれた!」
真澄は心から喜んで、産後のマヤ姫の手に口づけた。
「殿…喜んでくださるか…」
「もちろんだとも!嬉しいぞ!」
産室には、祝いの品々が届けられ、速水家、浅香宮家、両家あげて祝いの宴が盛大に催された。

 若いマヤ姫は、産後も順調に回復し、じきお床あげの日もやってきた。
マヤ姫は髪を結い、真澄から贈られた打掛を纏って、英介に挨拶に出た。
「マヤ姫、無事お床あげのよし、何よりじゃ。」
「はい、お義父上、本日お床あげとあいなりました。」
母となったマヤ姫は、いっそう女ぶりをあげ、輝くばかりに美しかった。
「おお、マヤ姫、苦しゅうない、近う寄れ。」
「はい、お義父上。」
「こたびはみごと跡取り出産、目出度い限りじゃ。真澄とも末永く睦まじくな。」
「ありがとう存じます。真澄殿にはいつもいつもおん心にかけて頂き、まことに幸せの限りでございます。」
「それは何よりじゃ。めおとは睦まじきが一番。近々、跡取り御披露目の宴も開こうぞ。マヤ姫も連席なされ。」
「はい。奥の役割、お勤めさせていただきます。」
「おう。宜しくな。」
マヤ姫は深々と頭を下げると、英介の居室を辞していった。



 その夜、マヤ姫は真澄との夫婦の寝屋に戻った。
いつもより早く、真澄は寝屋にやってきた。
正座して真澄を待っていたマヤ姫が真澄の姿を見て、パッと輝くような笑顔を浮かべる。
真澄はマヤ姫を抱き締めた。
「奥…待ち遠しかったぞ…こうして奥と過ごせるのが…」
「殿、われも待っておりました…」
その夜、久しぶりに肌を重ねた夫婦は、夜をこめて熱く燃えた。
マヤ姫は、愛される幸せに、涙を浮かべ、真澄にしっかりと縋りついた。



俗に、女は子どもひとり産んだ後が最もいい、と言われている。
若いマヤ姫も、女盛りを迎えていた。
跡継ぎお披露目の宴、真澄に連席したマヤ姫は、色香もかぐわしく香り立ち、宴に出席した商人達の目を奪った。
幸せそうに微笑み合うマヤ姫と真澄に、周囲はすっかり毒気を抜かれ、当てられたのだった。



そうして、マヤ姫は、真澄との間に一姫二太郎をもうけ、末永く幸せに暮らしたということだった。
今は昔。






終わり




2002/11/16

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