307307番ゲット・いちごジャム様リクエスト:ほんとうは、おもいつめているマヤちゃんが悶々真澄さんに劇的に告白してしまうのでは、
 と思うのですが、私は真澄さんのほうからゆっくりとした雰囲気のなかで、素直に、素敵に愛を告白してくれるシーンが読んでみたいのです。

 紅天女の後継者に決定したマヤを我がことのように喜び涙する麗、仲間たち、そして水城さんの姿をうらやましく思い、また胸をうたれる真澄さん。
 夜、一人おもいをめぐらし、「本当なら一番喜びをマヤとわかちあえるのに!」と悶々・・・・
 でも!ここでモンマス脱出してほしいのです。その後押しをするように、マヤから1通の手紙が届きます。
 紫のバラの人へのお礼と愛情のつまった手紙をよみ、マヤに告白する決心をします。
 そしてゆったりとした雰囲気のなかで真澄さんがマヤちゃんに愛を告げて、マヤちゃんの胸にしあわせが波のようにおしよせてくる・・・・
 というのでお願いできますでしょうか。

※いちごジャム様。カワイイHNですね。リクエストありがとうございます。





 真澄への叶わぬ恋に深く傷つき悩み、苦しみ、阿古夜の恋の演技に行き詰まっていたマヤだったが、
悲恋に打ち克つ阿古夜にみずからを重ね、真澄への溢れんばかりの真の想いを阿古夜に託して呻吟の日々を乗り越え、
マヤはついに阿古夜の恋の演技を完成させた。



 そして迎えた試演。
失明の危機に瀕して、絶体絶命、背水の陣で臨んだ亜弓の『紅天女』も見事だったが、
マヤの、いっさいの現実を克服した、遥か高い次元の高みを眺望する阿古夜の演技が、観る者誰しもの胸を深く打った。
マヤは村娘・阿古夜であり、神女であり、まさしく千年の梅の木の精「紅天女」であった。
命をかけた一真との愛と死の戦い。
愛するただ一人の男のために、マヤの阿古夜はその命を投げ出した。
「斧をおろせ!一真!」
「木を切れば阿古夜は死ぬぞ!」
「阿古夜は死ぬ…!」
「なにをしてる 一真!相手は人にあらず!木の精ぞ!」
「千年の梅の木を切り 天女像を彫るのだ、それで世は救われる!」
「使命を果たせ!」
南朝方は一真を責め立てる。
「殺せ!殺せ!あの男を殺せ!」
「恩知らずなあの男を!どうか、紅さま…!」
「バチあたりなあの男の命を…!」
村人達は阿古夜に迫る。
「なにをしている!一真!」
「ひるむな!今だ!」
「紅さま!あの男を!殺してください あの男を!」
「我らのために…!」
そして、阿古夜は叫んだ。

「お黙りーーーーー!」

周囲がその恫喝に沈黙する。

「この方はわたくしの大事なお方。指一本傷つけてはなりませぬ!」

「おまえさま…その斧でわたくしを切るおつもりか…?」
阿古夜は一真に向き直った。
「これでわたくしを切れば おまえさまは楽になるのか…?」
「教えておくれ…そうなのか?」
「阿古夜…。」
一真が言葉に詰まる。
「おまえさま…。」
「わかった…それならば、しかたがないの。」
阿古夜はスッと一真の前に膝をついた。
「打ちなされ。」
「はよう わたくしを打ちなされ。」

「紅さま…!」
「紅さま…!」

「阿古夜…」

周囲が動揺するさなか、阿古夜は目を閉じて、手を合わせた。その姿は神秘の霊性に包まれ、崇高ですらあった。

「くっ…!許せ!阿古夜…!」
桜小路の一真が、渾身の斧を振り下ろした。
爆裂する効果音。暗転。

一瞬早く姿を消した阿古夜の脱ぎ捨てられた衣装を、一真はかき抱いた。

やがて静かに読経の音が響いてくる。

エピローグが語られ、試演は終了した。



会場は、水を打ったように静まりかえっていた。
誰もが黒沼組の試演に圧倒され、我を忘れていた。
真澄は我知らず涙が頬を伝っているのに気づいて、掌でそれを拭うと、真っ先に拍手を贈った。
試演の観客もつられて盛大な拍手と歓声を黒沼組に贈った。
月影千草は唯一人、満足そうな微笑みをたたえて、客席に身を沈めていた。
紫織は黙って席を立ち、二度と真澄のもとに戻ることはなかった。



 亜弓の女優生命が危ぶまれる今、『紅天女』後継者にはマヤが確定した。
亜弓には、目が回復した折りには、役替わり公演、海外公演など、『紅天女』の興業の幅を広げる役割が課せられた。
会議に出席した誰しもが、月影千草のその提案に合意した。



 翌日。
全日本演劇協会ビルの一室、後継者発表が執り行われた。
千草が朗々と決定内容を一同に告げる。千草が演台にマヤを呼んだ。
「マヤ、よくやりました。これからあなたが、『紅天女』に永遠の命を与えていってちょうだい。」
「は、はい、先生…!必ず…!」
ワッと歓声があがり、演台を降りたマヤのもとに、招待されていた劇団つきかげ、一角獣の面々が押し寄せた。
「マヤ、おめでとう!」
「マヤちゃん、やったな!」
「あたしも嬉しいよ、マヤ…。」
麗の瞳が潤む。さやかは涙して、マヤの手を取った。
「マヤ…良かった良かった…!」
真澄の傍を離れ、水城もまたマヤを祝福した。
「おめでとう、マヤちゃん。よくやったわね。」
「あ、ありがとう、水城さん!」
マヤは頬を紅潮させ、満面の喜びを率直に表した。
真澄はひとり、その人の輪を見つめた。

(とうとう、やったな…マヤ…長かったな…。)

万感の思いが、真澄の胸を打った。
出来ることなら、真澄もまたマヤに駆け寄って、心からの祝福を贈りたい。
素直に喜ぶ一同を、ひととき真澄は胸塞がれる思いで眺めていた。
マヤの長年の、少女の頃からの夢が、この日、ついに叶った。
マヤを影から支え続けた真澄にも、ついに積年の夢が叶った、佳き日であった。



 その夜。
ドライマティーニを口にしながら、真澄は昼間の出来事を独り、振り返っていた。
幸福そうに美しく輝いたマヤの笑顔。
それはどれほど真澄にとって、愛おしいものだったことだろうか。
同時に、真澄の目の前を、これまで過ごしてきたマヤとの時間が、走馬燈のように巡った。

笑うマヤ。
涙するマヤ。
怒るマヤ。
苦しむマヤ。
恥じらうマヤ。
輝くマヤ。

どの情景の中のマヤの姿も、真澄にとっては今では貴重な、かけがえのない思い出となっていた。
今日の日、晴れて『紅天女』を勝ち取ったマヤ。
俺も嬉しい限りだ…。
その喜びは、紫のバラの人である俺こそが、一番嬉しいことだ…。
俺こそが、誰よりもマヤと、喜びを分かち合えるはずなのに…。
だが俺はただ、影から見守るだけだ、マヤの永遠の紫の影として…。


思いに耽る真澄の居室のドアがノックされた。
「真澄さま、お届け物です。」

「ああ、そこに置いておいてくれ。」

使用人はテーブルに品物を置くと、下がっていった。

真澄が手に取ってみると、それは他ならぬマヤからの手紙であった。
『紫のバラのひとへ 北島マヤ』と、封筒には記されていた。
見覚えのあるマヤの筆跡。
確かに、これはマヤが書いたものだと真澄は確信した。
幽かに震える手で、真澄は封を切った。



『紫のバラのひとへ

私は今日、念願叶って『紅天女』の後継者に選ばれました。
今日のこの日を迎えることが出来たのは、紫のバラのひとがずっと私を支え続けてきて下さったおかげです。
心から感謝しています。
長いこと、本当にありがとうございました。
今日まで、本当にいろいろなことがありました。
それを乗り越えることができたのも、すべて、紫のバラの人のおかげです。
あなたが居てくださったから、私は阿古夜を演じることができました。
私は、紫のバラのひとを想って、阿古夜を演じました。
私の阿古夜は、紫のバラのひとのための演技でした。
私の精一杯のメッセージが伝わったでしょうか。
紫のバラのひと、私はあなたを愛しています。心から。
私の演じる阿古夜は、紫のバラのひと、あなただけのものです。
これからも、いつまでも。
あなただけを、私は愛しています。
どうか、私の想いを受け取ってください。
あなただけのために、私は『紅天女』を演じます。きっと、一生。
紫のバラのひとへ 
 北島マヤ。』



 真澄は何度もその文面を読み返した。マヤの真情が、文面から溢れてくる。

真澄はとりもなおさず聖に連絡を取った。
「もしもし、ああ、聖か。」
“真澄さま、お手紙はお読みになりましたか。”
「これはマヤが?」
“はい、さきほどマヤさまからお呼び出しがありまして、紫のバラの人へ届けて欲しいとのことでした。”
「そうか…。」
“真澄さま、いかがなさいますか?”
「いや、追って連絡する。ありがとう。」
“はい、真澄さま。マヤさまを大事になさいませ。”
「ああ。そうするよ。お休み。」
“おやすみなさいませ。”

真澄は電話を切って、再度マヤの手紙を読み返した。

マヤ…俺は…。

…今こそ、マヤにすべてを告白しよう…!

長年のこの想いも、紫のバラの人の正体も。

マヤは紫のバラの人を愛すると言った。
どうしてその愛に応えずにいられよう?
もう何もかも、思い煩うことなく、堂々とマヤに告げよう、愛していると。
今こそ、告白の時。
もう、迷うことはない。

真澄は心を決めた。



 翌日。
真澄は午後の予定をキャンセルすると、自分の車を出して、マヤのアパートを訪ねた。
「速水さん…!」
麗とマヤは驚いて真澄を迎えた。
「青木くん、これからチビちゃんを借りるぞ。きちんと送り届けるから、心配しなくていい。」
「はい、速水社長。判りました。マヤ、行っておいで。」
「うん、あ、速水さん、ちょっと待ってて下さい、着替えるから。」
「慌てなくていいからな。」
外出着に着替えたマヤが、アパートから出てきた。
真澄は助手席にマヤを乗せると、車を発進させた。

「チビちゃん、よくやったな。おめでとう。」
「ありがとうございます…。」
「もう、チビちゃん、なんぞとは呼べないな。マヤ、きみも立派な紅天女だ。」
「まだ夢みたいなんです。ほんとにあたしが『紅天女』を演れるなんて…。」
マヤは遥かに夢見る眼差しで、車窓の風景を眺めた。
「子どもの頃からの夢だった…あたし、幸せです…ほんとうに…。」
「素晴らしい阿古夜だったよ。俺も心から感動した。」
「速水さんにそう言ってもらえるなんて…。」
「うん?どうした?」
言いよどむマヤに真澄が尋ねる。
「嬉しいです…。」
「そうか…。」
真澄は満足げに微笑んだ。
「ちょっと飛ばすぞ。」
言って、真澄は車を首都高から東名高速に向けた。
高速道路で、真澄は次々と前を行く車に追い越しをかけていく。
マヤはそっと真澄の横顔を覗き込んだ。
端正な整った横顔が、今は穏やかに澄んで、運転に集中している。
その横顔を素敵だ、とマヤは思った。

高速を厚木インターで降り、東伊豆道路を真澄はひた走る。
マヤは伊豆の海の眺望に眺め入った。海岸から遥かな水平線が、霞にけぶっていた。



 やがて真澄の別荘に車は到着した。
車庫に車を入れると、真澄はマヤを促して、車から降りた。
「俺の別荘だ。入ってくれ。」
マヤは真澄について、別荘の階段を上がった。
別荘に入ると、リビングのテーブルに活けられている紫のバラが、マヤの目に飛び込んだ。

(紫のバラ…!)

マヤは思わず真澄を振り返った。

「そこにかけていてくれ。今珈琲を淹れるから。」
真澄はマヤをリビングのソファに座らせると、キッチンで珈琲を淹れ、リビングに運んできた。
マヤは紫のバラを凝視していた。
真澄はフッと笑って、マヤに珈琲を勧めた。

珈琲を飲んで、一息つくと、マヤはもの問いたげに、傍らに座った真澄の横顔を見あげた。
真澄は花瓶から一本、薔薇を抜き取ると、マヤに差し出しながら、穏やかに口にした。

「マヤ…俺が紫のバラの人だ…。」

「…!」

マヤは目を瞠った。
そして、みるみる、マヤの見開いた瞳が潤む。

「速水さん…あたし、あたし…」

「待ってました…速水さんがこうして、名乗りをあげてくれるのを…。」

「知っていたのか?俺が紫のバラの人だと?」
「…知っていました…もうずっと前から…。」
「どうして知ったんだ?」
マヤは『忘れられた荒野』の青いスカーフ、北島春の墓に落ちていた万年筆の話を訥々と語った。
「ずっと、ずっと、待っていたんです…速水さん…!」
「知っていて、紫のバラの人を愛していると言ってくれたのか…?」
「ええ、ええ。速水さん…!」

「…マヤ、俺もきみを愛している…。もうずっと長いこと、きみだけを愛してきた…。」
「速水さん…ほんとに…?」
「ああ。俺の想いは、一生叶わないと思っていた。俺は一生きみの紫の影だと。」
「だが、マヤ、もう俺は自分に嘘はつけない。俺はマヤ、きみを愛している…!」
「速水さん…!」
真澄は言うと、宝物のようにマヤを抱き竦めた。
「愛している…マヤ…きみだけを…。」

マヤは真澄にとり縋ると、ひとしきり涙にくれた。
「嬉しい…速水さん…」
「あたしも、速水さんのことが好きになって…苦しかった…ずっと…。」
「諦めなきゃって、何度も思った、でも、あたしには速水さんしか、愛せませんでした…。」
「マヤ…。」

真澄はマヤの頬を伝う涙を指先で拭い、マヤの両の頬を掌で包むと、そっと静かにマヤにくちづけた。

マヤの幽かに震えるくちびる。
壊れ物を扱うように、真澄はくちびるを離した。

「長い間、マヤ、きみだけを愛してきた。これからも、マヤ、きみだけを愛している。」
「…速水さん…」
「でも、紫織さんが…。」
「婚約は解消する。彼女ももう、そのつもりだ。」
「これからは、マヤ、きみとずっと一緒だ。もう、二度とマヤ、きみを離さない…!」

真澄の温もりがマヤを包み込む。マヤはその確かさに、いっさいの胸のつかえ、いっさいの楔が解き放たれる思いがした。
苦しかった片恋の思い出は今はもう時の彼方に押し流され、ただ静謐な、そして確かな愛がふたりを満たしていた。

「マヤ…愛している…!」

「速水さん、あたしも…」
「あたしも、速水さん、あなたを愛しています…!」

真澄の胸は広く、暖かかった。
寄せては返す遠浅のゆるやかな波のように、ひたひたと幸福がマヤを満たした。

「速水さん…あたし、幸せ…。」
「俺もだ…。約束する。マヤ、俺はきみだけを愛する。」
「あたしも…速水さん…。」

初めて愛を語り合ったふたりは、しばし眼差しを交わし、微笑みを交わした。
ともすると、マヤの双眸から涙が溢れる。
真澄は優しく笑って、涙を拭ってやった。

「嬉しい…速水さん…」
「マヤ、きっときみを幸せにする。俺はきみに誓う。」
真澄は語る言葉に真実を込めた。

「あたし…十分幸せです…こうして、速水さんの気持ちを伝えて貰えて…。」
「これからは、ふたりでずっと一緒に歩んでいこう。離れていても、忘れないでくれ、俺がきみだけを愛していることを。」
「ええ、ええ。速水さん…。」
「愛しています、心から…。」
「マヤ…。」

真澄はマヤの手を取って、掌にそっとくちづけた。
女性の手の甲への接吻は尊敬を表し、掌への接吻は真実の愛情を指し示す。

「マヤ…きみはおれの宝だ…。約束してくれ、もう二度と俺から離れたりしないと…。」

「約束します。速水さん。あたしは速水さんのものよ…決して速水さんから離れたりなんかしません…。」

「きっとだぞ。」

「ええ。」

真澄はマヤを抱き直し、マヤの長い髪を愛撫した。
愛おしさが、ひととき真澄の胸にこみあげる。

「夢のようだな…。」
「ほんとうに…。幸せで、夢みたい…。」

「いつか、きっと、マヤ、きみと一緒の人生を過ごそう…。」
「マヤ、きみのことは、俺が一生をかけて全力で守る。」

「速水さん…嬉しい…。」
「俺だけのものになってくれるか?」
「…ええ、速水さん…」

「これから、ゆっくり愛し合っていこう。俺は急がないから。」
「長い間、速水さんに想ってもらって…あたし、ほんとうに幸せ…。」
真澄の胸に抱かれて、マヤはうっとりと目を閉じた。

「ずっと、速水さんが好きでした…。」

「ありがとう、マヤ…」

真澄の腕の中で、マヤはほうっと熱い溜め息を漏らした。

長い道程の果てに初めて愛を確かめ合ったふたりは、ひととき、互いの温もりをも確かめ合う。
真澄の腕にすっぽり収まるマヤの華奢な身体。
柔らかい頬。
赤い小さなくちびる。
何もかもが、真澄には愛おしくてならなかった。
マヤもまた、真澄がこのうえもなく慕わしく、初めて愛される喜びを噛みしめた。
互いに片恋を抱いて幾星霜。今は、ふたりは確かめた愛の悦びに、深く満たされた。
時は緩やかに流れ、窓から差し込む月光が、ふたりを静かに祝福していた。



真澄はマヤを誘って、下田の海鮮料理の店で夕食をとり、マヤを東京まで送り返した。
マヤのアパートに車をつけて、真澄はいっときマヤの手をとった。
そして、つい、とマヤの顎を上向かせると、静かに優しく接吻を贈った。

「また会おう。連絡する。これから『紅天女』でマヤは忙しくなるぞ。」
「ああ、そうね。『紅天女』、速水さんに任せてもいいの?」
「大都なら十分、マヤを活かせられる。任せてくれていい。」
「しばらく俺たちのことは内密にしておこう。いいな?」
「判った。連絡、待ってます。」
「じゃあ、また。お休み、マヤ。」
「お休みなさい、速水さん。」
マヤが車を降り、アパートに入るのを見届けて、真澄は車を発車させた。



 真澄は自宅に戻り、昨夜のマヤの手紙を再度、読み返した。
『あなただけを、私は愛しています。』

晴れて真情を告白した真澄の心は明るく晴れ渡った。
そして、これからマヤと過ごす時間に、遥かに思いを馳せた。


愛は、寛容であり、愛は情け深い。
愛は高ぶらない、誇らない、無作法をしない、自分の利益を求めない、
いらだたない、恨みを抱かない、
不義を喜ばないで、正義を喜ぶ。
そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。
愛はいつまでも絶えることがない。


この愛の真理に、この身を委ねよう。
真澄はマヤの笑顔をいつまでも飽くことなく反芻していた。
なんという、それは愛おしさであろう。
真澄は、幸福だった。おそらく、真澄にとって、それは初めてだろう、幸福。
いと高きところには神に栄光あれ。
地の上には、み心にかなう全ての人々に平和あれ。
マヤと真澄に約束された幸福に、天の恵みが世々限りなくあるように。







終わり








2002/11/9

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO