288888番ゲット・のぶりん様リクエスト:。『インド大好き』な私自身の趣味を盛り込んでいただくきたく、
 以下のキーワードでお願いしたいのです。
 @マヤちゃんのサリー姿に見惚れて、クラクラしちゃう真澄様。
 A「ムフフ」のシーンは、『カーマスートラ』のテイスト(?)を織り込んで・・・
  今、書いていて自分でも赤面モノなのですが、せっかくのインドなので
  その道の奥義書、『カーマスートラ』ネタを、ユーリさまの流麗な文体をもってマヤちゃんと真澄様に、
  芸術的に表現していただきたいのでございます。
  (地下行きになってしまうかしら・・・)
 B亜弓さんも、ちょこっと登場
  最近、お目に掛かることの少ない亜弓さん、端役でもいいので、物語のスパイスとしてご登場願いたいのです。

ということで以上の3点を踏まえまして参りたいと思います。





 北島マヤ『紅天女』初演の成功から1年。
名実ともにマヤは演劇界でその地位を確かなものとした。
以来、マヤは大都芸能に所属し、テレビドラマ、CM出演に雑誌の取材、また別の舞台や映画の出演依頼など、多忙な日々を送っていた。
真澄との仲は極秘に伏せられ、芸能マスコミは何かと取り沙汰したが、よもやの「本命」をスクープするには至っていなかった。
そうした日の過ぎ行く或る日のこと。



 インド大使館から大都芸能宛に正式にオファーがあった。
マヤが日印友好50周年を記念しての「親善大使」に選出された旨の告知であった。
日本を代表する女優として、名誉なことである。
大都芸能は大々的に記者発表を行い、マスコミ各方面のみならず政官界へもアピールした。
やがてインド大使館で、記念行事とともにマヤを迎えて、パーティが開催される旨、通達があった。
マヤは普段以上に念を入れてエステに通い、準備に余念がなかった。


 そのパーティの当日。
記念式典では、在日インド大使から直々に親善大使の任命式があり、マヤは緊張しながらも滞りなく役目を果たした。
真澄はVIP席で、この上なく晴れがましい思いでマヤを見つめた。
インド大使の式辞、外務相の挨拶、インド舞踊の披露、と式が進行する。
インド舞踊との一対として、『紅天女』のクライマックスを、一人芝居でマヤは演じた。
インド舞踊といえば、マヤが紅天女の動きを修得するにあたって、聖とともに公演を見に行った由縁がある。
思い返せば、縁(えにし)の巡り合わせというものか。
式典は華やかに進み、インド大使の挨拶で、締めくくられた。

夕刻からはパーティである。
マヤはインド政府から贈られたサリーを、控え室で着付けられた。
着付けは南インドスタイルのニヴィ・スタイル。
紅梅色の光沢のあるティシュー・サリーで、金糸銀糸がとりどりに華麗に縫い込まれている。
ブラウスは、肩と臍をむき出しにしたスタイルで、ペチコートの裾には細かいフリルがあしらわれていた。
ボディ、ボーダー、バッル、とインド大使館の職員女性が巧みにマヤに着付けていく。プリーツもたっぷりと取る。
着付け終わると髪も結い上げられ、インド製の大きなイヤリングと対のネックレスも付けられた。
化粧もインド風に直され、靴もインド製のサンダルに履き替え、足を丸出しにしないようにと注意を受ける。
インドでは足を見せるのはマナー違反。サリーでうまく足を隠して歩く。
紅梅の生地の色つやがマヤの白い肌に映え、マヤの若々しい艶麗な色香が、赤い口紅でさらに引き立った。
「北島さん、出来上がりましたよ。」
「わぁ、素敵!」
マヤは鏡の前でくるりと後ろを振り返って、全身を映して見てみた。
「お綺麗ですわ。よくお似合いですね。」
「自分じゃないみたいだわ。ありがとうございました。」
「パーティ、主役ですからね。楽しんでいらっしゃいませ。」
「はい、行ってきます。」
にこやかにマヤは職員に手を振ると、パーティ会場に向かった。

インド大使の乾杯の音頭で、パーティが始まった。
サリーに着替えたマヤの回りに、たちまち人垣ができる。カメラのフラッシュも盛んに焚かれた。
マヤは晴れやかな笑顔で、人々の挨拶に応えた。
つと、人垣を縫って、マヤに近づく女性がいた。
「マヤさん、このたびはおめでとう。」
「あ、亜弓さん!」
「見違えたわ。綺麗よ。」
「ありがとう。亜弓さん、もう目は大丈夫なの?」
「ええ。おかげさまで。手術も成功したし、術後も順調よ。もう、リハビリにレッスンも始めたの。今度の役替わり公演、楽しみにしているわ。」
来年早々、マヤと亜弓の役替わりで『紅天女』公演が予定されていた。
「そうなの。良かった!」
「ええ。存分に演り合いましょうね。」
「もちろん!」
「今日は速水社長のご招待にあずかったのよ。速水社長は?ご挨拶に伺いたいわ。」
「あら、速水さん、そういえばどこかしら?あ、いたいた。亜弓さん、行きましょ。」
マヤは亜弓と連れだって、談笑している真澄の傍に歩み寄った。
「速水社長!」
マヤの呼びかけに真澄は振り返って、マヤの姿を見るなり絶句した。
よく手入れされた陶磁のような滑らかな白い肌を露出させ、エキゾチックこのうえなく装ったマヤの晴れ姿に、真澄は胸を鷲掴みにされたような感覚に一瞬我を忘れた。
(マヤ…!)
心臓が早鐘のように鳴り、カッと頭に血が上る。
そのまま抱き締めてしまいそうな衝動に憑かれ、真澄は必死でそれを抑えた。
「速水社長、本日はお招きありがとうございました。」
亜弓が声をかけて、ようよう真澄は我に帰った。
「あ、亜弓くんか。よく来てくれたな。順調そうで何よりだ。」
「はい。来春公演ではお世話になります。よろしくお願い致します。」
「ああ。身体に気をつけて、いい公演にしてくれ。期待している。」
「はい、速水社長。」
「速水社長、どう?サリーを着せてもらいました。」
マヤはくるりと回って見せた。
「あ、ああ、うん、よく似合っている。大都の花形女優に相応しい。」
「親善大使の大役、頑張って務めたまえ。」
「はい。重々承知しています。」
「では私はこれで。また後でね、マヤさん。」
亜弓はその場を辞して行った。
素早く真澄はマヤに囁いた。
「今夜、きみの部屋に行く。それまで着替えるんじゃないぞ。」
婉然と微笑んで、マヤは頷いた。
「じゃ、また後で。」
マヤは軽く一礼して、真澄から離れていった。
背中の肌の見えるその後ろ姿を、獲物を狙う獣のような鋭い視線で、真澄は追った。

晴れやかに装うと気持ちも晴れ晴れと浮き立つのか、マヤは終始堂々たる態度でパーティの主役を務めていた。
真澄は人垣で隠れてしまう小柄なマヤの姿を横目でチェックしながら、関係者と談笑していた。
やがてパーティも盛会のうちに終わり、人々は大使館から引き揚げていった。
マヤも控え室に戻り、山のように積まれたプレゼントと着替えをまとめると、迎えの車を待った。
マヤのマネージャーの柾木がプレゼントの山をトランクに詰め込み、サリー姿のままのマヤが車に乗り込むと、車はマヤのマンションに向かって発進した。


「マヤちゃん、今日はご苦労。よくやったな。」
柾木が車中で話しかける。
「あーあ、疲れた。でも楽しかったわ。」
「これでインド映画の話も来るかもしれないな。」
「インド映画?面白そうね。」
「日印合作の映画なんか、いいねえ。」
「またサリーが着られるかしら。」
「ああ、そうかもな。」
やがて車はマヤのマンションに到着し、柾木が車と3往復して、プレゼントの山をマヤの部屋に運び込んだ。
「じゃあな。マヤちゃん。お休み。」
「はい。マネージャー。お疲れさまでした。」



 マヤがサリー姿のままプレゼントの整理をしていると、ドアのチャイムが鳴った。真澄である。
真澄は部屋に入るなり、マヤをきつく抱き締めた。
そして、露わになった背中の肌に指を滑らせ、素早く愛撫する。
「は、速水さん…苦しい…」
「見違えたぞ。素敵だ。マヤ…」
「さっきは危うく、こうするところだった…。」
そして、接吻しようと、真澄は身を屈めた。
「速水さん、口紅…」
「構わん」
真澄は深々とマヤにくちづけた。
「ん…」
熱情に任せるまま、真澄はマヤのくちびるを貪る。
そして、舌を絡ませ、濃厚なくちづけに、しばしふたりは熱中した。
マヤが呼吸を乱して、真澄の腕からするりと逃れた。
「もう、速水さんったら…」
マヤは鏡台からクレンジングペーパーを持ってくると、真澄のくちびるに付いた口紅を拭った。
そして、残りの半分で、自分の口紅も拭いとった。
マヤは引き続いて、プレゼントの整理に取りかかった。
真澄はキッチンに行き、自分の分のコーヒーを煎れると、カップに注いでリビングに運んできた。
真澄はリビングのソファで新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいると、
「きゃ、やだ、なに、これ!?」
マヤが奇矯な声をあげたのに振り返った。
「何だ?」
真澄はマヤの傍に寄ると、マヤが開封した箱の中身を覗いた。
そこには、インドの春画が4枚と英語の文献、それにマッサージオイルが入っていた。
「カーマスートラか。」
「なにそれ?」
「まあ、インドの古典芸術書だな。文献を貸してくれ。読むから。」
真澄は書物を手にすると、リビングのソファに戻って、読み始めた。

カーマスートラとは、4世紀ごろ編纂された、古代インドの性思想、倫理思想の集大成である。
グプタ王朝の華やかな王朝文化を背景に成立した「カーマスートラ」の目的は、もっとも人間らしい性愛行動の奥義を明らかにすることである。
抱擁、女性の選び方、妻、他人の妻、売春婦など、7つのセクションに分けられ、
男性の性生活について、また最高の喜びを得る方法などについて記されている。
64種類の性交体位や少女の口説き方をはじめ、サンスクリットで書かれたインド王族に伝わる「性愛の学」それがカーマスートラ。
インドの三大性典とされるのは、「カーマスートラ」(愛経)、「ラティラハスヤ」(愛秘)、「アナンガランガ」(愛壇)の三書である。
特に「カーマスートラ」は何回もリバイバル刊行されているこの種の性典の基本にして性の奥義書の最高峰だといえよう。

真澄が文献を読み耽っている間、マヤのプレゼントの整理はあらかた終わり、部屋の中も片づいた。
「マヤ、いいものを貰ったな。」
「英語の文献じゃあ私の手には負えないわ。」
「あとで教えてやる。」
真澄は不敵に微笑んだ。

真澄の手を借りて、マヤはサリーを脱いだ。そしてガウンを羽織る。
大きな一枚布を丁寧にたたみ、イヤリングとネックレスも外して、アクセサリーケースに仕舞う。
「サリーって、一回着たらすぐお洗濯に出すんですって。インドでは1日に何度も着替えるそうよ。」
「緋色はマヤには実によく似合うな。俺は好きだよ。」
「元が地味ですからね。あたしには明るい色の方がいいみたい。」
「素顔に飾り気が無いから、身につけるものがよく映えるんだよ。」
「あら、ものは言いようだわね。」
「もっとも俺にはマヤは何も身につけていないのが一番だがな。」
「もう…!」
真澄の軽口に、マヤは上目遣いで真澄を軽く睨んだ。
「シャワー、浴びてくる。」
「ああ。ゆっくりしておいで。」
マヤがバスルームに消えると、真澄は再びカーマスートラを読み始めた。

「ああ、くたびれた。」
マヤが洗い髪を拭きながらバスルームから出てきた。
「交替だ。シャワー借りるぞ。」
「どうぞ。ごゆっくり。」
真澄は式服の上着を脱ぐと、マヤに手渡した。
マヤは上着をハンガーに掛けクロゼットに仕舞うと、ドレッサーに向かい、髪を乾かした。
じきに真澄が浴室から出てくる。マヤは男女共用のバスロープを真澄に渡し、真澄の着ていた服を片づけた。
そして、キッチンからバランタインの17年を運んでくる。
「水割りでいい?」
「ああ。ありがとう。」
「あたしも少し飲もうかな。」
マヤは二人分の水割りを作ると、片方を真澄に渡した。
「お疲れさま。」
言うとマヤは真澄とグラスを合わせた。
真澄はクイとグラスを傾け、一息に半分ほど飲み干した。
マヤはゆっくりグラスを舐めるように、少しずつ飲む。
バランタイン17年独特の、軽い甘みが口に広がる。
「ああ、美味しい。やっぱり緊張してたのかな。」
「大使館なぞ、普段は縁がないからな。今日はマヤ、よくやったぞ。」
「そう?それならいいんだけど。」
リビングのソファに並んで腰掛け、マヤは真澄に凭れかかった。
「インド、かぁ。いずれ行くことになるのかしら。」
「そうだな。親善大使だからな。」
「ガンジーの映画でしか知らないわ。」
「長い歴史のある国だ。人類のインダス文明発祥の地でもある。」
「勉強しないとね…」
「カーマスートラは、俺が教えてやる。」
そう言って、真澄は含み笑いをした。
「さて、じゃあご教示といくか。」
真澄はグラスを空にすると、席を立ってマヤを抱き上げた。



 そのまま真澄はリビングの灯りを消し、寝室にマヤを抱いて入った。
真澄が出入りするようになって、ベッドはセミダブルに替えてある。
真澄は羽布団を捲るとマヤをベッドに横たえた。
「今日は?日にちは大丈夫だな?」
「うん、大丈夫…」
消え入りそうな声でマヤが答えた。
真澄は寝室の灯りを絞ると、バスローブを脱ぎ、マヤのガウンと下着も脱がせた。
ふたり、全裸となり、肌と肌を合わせる。
真澄の温もりに包まれて、マヤは疲れた神経がほぐれ、ゆうるりと慰められる気がした。
真澄の瞳を見つめ、そしてゆっくりと、マヤは瞼を閉じた。
それを合図のように、かぶりを振って真澄はマヤに口づけた。
くちづけは、とろけるようにふたりに甘かった。
宵の口、マヤのサリー姿に欲情を覚えて以来、ようやっと真澄はその熱情が解放される時が来た。
欲情の赴くまま、真澄はマヤの全身を隈無く愛撫していく。
マヤのくちびるから、甘い喘ぎが漏れた。
たっぷりと時間をかけて、真澄はマヤの素肌を堪能すると、愛撫の指をマヤの躰の中心に進めた。
そこはすでに熱く潤い、真澄を待ち焦がれていた。
真澄は両脚でマヤの大腿を大きく開かせると、マヤに己を宛い、腰を進めた。

真澄は先刻読んだ文献の通りに、10種類の交わりを次々試みた。

ウパスリプタカム。これは一番オーソドックスな形で、高ぶりをマヤの躰の内部に逆らわないように、真っすぐに挿入する。
マントハナム。挿入した高ぶりの根元を手で握って、マヤの内部を攪拌する。
フラ。真澄は腰を低く落として、高ぶりでマヤの上部、つまり天井の部分を突く。
アグァマルダナム。“フラ”と正反対の動作で、真澄は腰を上のほうに移動し、マヤの躰の下の部分を強く突く。
ピーディタカム。高ぶりをマヤの躰の中に根元まで押し込んだまま、女陰の周辺を回転させて強く圧する。
ニルグハータ。高ぶりをマヤの躰から外れない程度まで引き抜いてから、腰と臀部を使って強く挿入する。
グァラーハグハータ。マヤの内壁の片側だけを狙って、高ぶりで強く突く。
ヴリシャグハータ。牡牛の角のように、マヤの内壁の左右両側を高ぶりで突く。
チャタグハータ。マヤの躰の奥まで挿入した高ぶりを抜き上げずに、1、2、3、4回……と、ちょうど雀がエサをついばむように、マヤの内壁を突く。
サムプタ。サムプタカムと言うと伸展位のこと。つまり、高ぶりを挿入したまま、ふたりともが両脚をピンと伸ばして閉じる。

『カーマスートラ』ではこれらの方法を「女性の好みと体力に応じて、ときには緩やかに、ときには激しく行うべきである」と説いている。

マヤは真澄の技法にすっかり翻弄され、あられもなく乱され、耽溺の果てに、忘我の境地に落としこまれた。
「マヤ…これが『カーマスートラ』だ…」
真澄が妖しく囁く。
「どれが良かったか?」
「あ…あ、もうダメ…」
マヤはかつてない惑溺のさなかで、呻いた。
「よし。いかせてやる…」
真澄はマヤの反応が最も鋭かった「ニルグハータ」でマヤの絶頂を誘うことにした。
真澄は「ニルグハータ」を素早く、烈しく繰り返した。
古来の愛の聖典に導かれた、ふたりの聖なる愛の行為は、今、その頂きを迎えようとしていた。
「あーーーっ!」
一際甲高い嬌声をあげて、マヤに目眩く絶頂の時が来た。
マヤの絶頂に誘われて、真澄もまたその逞しい精気をマヤの内奥奥深く、烈しい勢いで迸らせた。



愛の媚薬以上に、『カーマスートラ』はふたりの聖愛に効果をもたらした。
マヤはぐったりとベッドに身を投げ出し、陶然と真澄に寄り添った。
真澄は深い満足を覚えて、マヤに軽く接吻した。



この夜を境に、ふたりの間では、『カーマスートラ』が頻繁に活用されるようになった。
意趣を凝らした豊富な体位、性愛の行為の様々なテクニック。
真澄はよくよく熱心に文献を読み、逢瀬のたびごとに、ふたりの性愛を充実させていった。
そもそもは、マヤが日印の親善大使に選任されてのこと。
(マヤには大使の務めに励んで貰わないとな)真澄はひとり、内心で呟いた。



 それから3ヶ月後、マヤはスケジュールを調整して、親善大使としてインド本国へ招かれて行った。
以前、真澄がマヤに贈った大振り袖を、マヤは持参した。日本の民族衣装をお披露目するにはうってつけだった。
招かれて、マヤはガンジス河で沐浴し、ガンジスの彼方に沈む夕日を心に刻み込んだ。
雄大で苛酷なインドの自然とインドの文化を満喫し、マヤは帰国した。

帰国すると、亜弓との役替わり公演の稽古に入る。
次の舞台が、マヤの天性を誘ってやまなかった。





終わり






2002/10/22

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