222222番ゲット あんどれかんどれ様リクエスト:ポン吉さんのHPでのねここさんのリクエスト、浴衣。
 実は、ずっと気になっておりました。マヤは自分一人で着られるのか?
 舞台で和装もあるだろうし、着られないというのは、いささか無理がある設定でしょうが、そこいらへんは目をつぶっていただきましょう。
 着物(もしくは浴衣)を着用した、マヤが社長室に・・・。
 そんなつもりはなかったけど、やっぱりいつものパターン(ここいらへんは、耽美関係で)となる。コトが終わり、一人で着物が着られないマヤ。
 そこで、マッスーは、赤面もので水城さんに助けを求める。(ここらはちょっとコミカルでお願いします。)
 神聖な職場で、とんでもない二人ですが、いかがでしょうか?
※ということで、リクエストに忠実に参りたいと思います(笑)





  ある秋の日。マヤと真澄の婚約を公にして間もない頃。
マヤは日本和装新興協会のテレビコマーシャルに出演することになった。

それは成人式用のCM制作で、マヤが大振り袖に髪を結い上げ、全身をカメラが大写しにして、あとはBGMのみ、ラストにタイトルバックが流れる、という、ごくシンプルな内容だった。
成人式に晴れ着を着られなかったマヤのために、真澄はスポンサーに特別に特注して、大振り袖一式を、このCF撮り用に用意させた。
この出演で、せめて晴れ着を、という真澄の心遣いだった。
 華やかな京友禅の染め、黒地に金の豪奢な鳳凰の文様、赤の花模様を散らした華美な大振り袖で、着物はもちろんのこと、
帯から数々の小物類、簪一本に至るまでぬかりなく、水城が入念に手配した。



  その撮影の日。
「おはようございまーす!」
挨拶してスタジオ入りしたマヤに、早々に、着付師が声をかけた。
「マヤちゃん、おはよう。」
「あ、中川さん、今日は宜しくお願いしますね!」
「着物、見た?素晴らしいわよ。」
「ほんと?嬉しい!」

 まずはヘアメイクから、楽屋でマヤは飾り立てられた。
マヤの長い髪はアップの日本髪に結い上げられ、きらびやかな簪に飾り櫛が留められる。
メイクも若々しく瑞々しいシャネルのパウダーをメインに、眉は細く、和風の切れ長なアイライン、口紅は、深い深紅が選ばれた。
口紅を塗るのは、着付けが済んでから、最後に塗ることになる。
もともと、マヤの飾り気の無い顔立ちは、化粧をすると、非常に化粧映えする。まさに舞台人向けの顔立ちなのだ。
メイク役も、満足のいく化粧ができた。
さて、いよいよ着物である。
「ほら、マヤちゃん、見てごらん。」
着付師・中川が衣装箱から丁寧に着物を取り出して、広げて見せた。

「わぁっ!綺麗……」
それは、とてつもなく豪華な、大振り袖だった。
黒地の染めだが、地模様に光る絹で竜胆丸模様が織り込まれている。鳳凰の文様は目にも眩しい金染めで、深紅と緑の花柄に縁取られ、
マヤの心をときめかした。
これが、真澄からの贈り物かと思うと、マヤは幸福感で胸がひたひたと満たされた。
「紫のバラのひと」。昔から少しも変わらず、こうして、真澄はマヤに得難い幸福を与えてくれる。
――速水さん、ありがとう――
真澄への慕わしい思いが、マヤの内心でひととき、いっそう募った。

「マヤちゃん、いい表情だ。本番もそれでいってよな。」
ADが声をかけた。少し含羞んで、マヤは頷いた。
「さて、着ましょうか。」
中川の合図で、スタッフは楽屋を出ていった。
着付けの始まりである。

マヤの細く括れたウエスト、豊かな胸とヒップを、佐々木はタオルで補正していく。
肌襦袢を着せ、何本もの組み紐で巧みに体型を和服型に直していった。
「マヤちゃん、下着、脱ぐ?」
「え?」
「本式には、着物を着るときは下着は脱ぐものなのよ。下着のラインが映るかもしれないし。」
「……恥ずかしいけど…じゃあ、脱ぐわ。着物、初めてだから…失敗しちゃいけないものね…。」
マヤはするりと下着を脱ぐと、たたんで積んだ着替えの一番下にそっと隠した。
「はい、着物よ。袖を通して。襦袢も袖に入れてね。」
マヤは壊れ物でも触るように、そっと着物に袖を通した。さらり、とした、本絹の極上の肌触りだった。
中川は慣れた手つきで、マヤに着物を着せていく。
ウエストに1本目の紐を締める。体の前に紐を当て、背中に回して交差させてから前に回して、紐を結びんだ。
腰回りの皺を伸ばして、身八ツ口に手を入れて紐に着物がはさまっていないか調べ、背中のおはしょりを平らにならす。
中川は手早く皺を整えると、バストの下に2本目の紐を締めた。
おはしょりがごろごろしないように伸ばし、上前に重なる部分が水平になるように整える。
伊達じめをウエストに当て、マヤの背筋をシャンと伸ばして巻きつけた。伸縮性があるので、きつく締め過ぎないように注意する。
「きつくない?」
「大丈夫。」
マヤは、だんだんと着物が着付けられて行くのに、わくわくと胸躍らせていた。
中川は胸元と背中に皺やたるみがないかチェックし、脇の下に寄せて全体を整えた。これで着物は着付け終えた。
着物を着終えると、次は帯である。
金糸銀糸に鮮やかに彩られた、紫を基調にした派手な帯だった。
中川は、目をつぶっていてもできるのではないか、という手際の良さで、立て矢に帯を結んでいく。
「はい、マヤちゃん、ちょっと足を開いて。」
佐々木はそこでぎゅっと帯を結んだ。
華やかに矢を立てると、藤色の帯揚げを綺麗に結んで端を帯に挟み、羽根の角度を整えて、出来上がりである。
正面の藤色の帯揚げは、いりく結び。
帯留めには、真澄の意趣で、エメラルドをあしらった高価な帯留めが藤結びに結ばれた。
宝石店のオーナーによれば、「夜のためいき」と名付けられた帯留めだった。
黒地に金に赤、紫の帯に白の帯留め。草履に巾着も揃いで金地に紫あしらい。
髪から足袋まで、華麗にして豪奢な大振り袖姿の出来上がりである。
普段着のマヤとは、見事に一変した。

「はい、出来上がりよ。」
中川は立て鏡をマヤに見せかけた。
「わあっ、綺麗、綺麗ーー!」
和装の衣装は舞台で着慣れているが、大振り袖はマヤにはこれが初めてである。
マヤは後ろを振り返って、華麗な立て矢に結ばれた帯を見た。
「素敵よ、マヤちゃん!良かったわね。」
「ありがとう、中川さん…」
マヤの瞳がみるみる潤んだ。
「ありがとう、は、社長に言ってね」
そう笑って、中川は楽屋の扉を開けた。
「行ってらっしゃい。仕事仕事!」
感涙で涙しかけたマヤに、中川は喝を入れた。
「…う、うん、行ってきます…。」
マヤは、真紅の口紅を、丁寧にリップブラシで塗った。



『紅天女』で培った、婉然として蠱惑的なマヤの表情が、撮影でも存分に活かされた。
『紅天女』公演のためレッスンを続けている日舞の基礎が生きて、所作事もマヤはきちんと決め、撮影は順調に進んだ。
何通りかのポーズを撮影し、フィルム撮りは順調に終了した。あとはフィルム編集、というところで、マヤはお役放免である。



「はい、OK!」
「お疲れさま〜!」
「お疲れ、マヤちゃん!」
「マヤちゃん、綺麗だったよ!良かったぜ!」
スタッフに声をかけられて、さすがのマヤとはいえど、誇らしげに微笑んだ。
愛する人に贈られた、大切な衣装に身を包んで、マヤは幸福の限りだった。

マヤはディレクターに歩み寄ると、少し含羞みながら、お伺いを立てた。
「あの、ディレクター、このままちょっと、本社に行って来てもいい?すぐ戻るから。」
年輩のディレクターと呼ばれた男は、察しよく片目をつぶって、笑って言った。
「おお、いいだろう。社長に見せてこいよ。せっかくだからな。」
マヤは弾んだ声で答えた。
「ありがとう!じゃあ、ちょっと出てきます!」
まさか着替えが必要になる成り行きになるとは、マヤは露ほどにも考えず、財布だけ巾着にしまうと振り袖姿のままスタジオを出て、
タクシーに乗り込んだ。




  大都芸能本社ビル。
受付でマヤは真澄に面会を申し入れた。今や誰憚ることもない、正式な婚約者であり、大都芸能の看板女優としてのマヤである。
受付嬢も、さすがのマヤの変身ぶりには、思わず目を瞠っていた。
幸い真澄は会議もなく、社長室で執務に当たっているとのことだった。マヤは直接、社長室を訪ねた。

水城がドアを開けてくれる。
「まあ、マヤちゃん!」
真澄が息を呑む音すら、聞こえそうだった。
「今日が撮影だったのね。綺麗よ。」
「ありがとう、水城さん。おかげさまで、こんな風になりました!」
真澄は煙草の灰を危うく落としかけて、灰皿に煙草を握りつぶした。
「社長、ごらんあそばせ。」
言われるまでもなく、真澄は素早くマヤの全身を、穴があくほど見やっていた。
「速水さん、見て見て!綺麗?」
マヤは少女のように無邪気に笑って、くるりと回って見せた。
真澄は言葉もなく絶句している。
「ねえねえ、速水さん、どう?」
真澄はやっと口にした。
「あ、あぁ。よく着こなしたな…。」
言って真澄は、すいと席を立つと、マヤに歩み寄った。
「袖を広げて見せてくれ。」
「はい。」
マヤは言われるがまま、両袖を広げた。黄金の鳳凰が、見事だった。
真澄はしばし佇んだまま、しげしげとその眺めを愉しんだ。そして、ふと我に帰った風情で、水城に告げた。
「水城くん、ちょっと外してくれないか。用が済んだら、また呼ぶ。」
「真澄さま…」
水城は釘を差すように真澄を鋭く見つめた。
「かしこまりました。…真澄さま、場所柄をお弁え下さいませね。」
「何のことだ?」
真澄はとぼけてみせたが、水城には真澄の行動などお見通し、といった具合。
あえて真澄はそれを無視して、水城を退出させ、社長室の重厚なドアに鍵をかけた。



「綺麗だ…マヤ…」
「ほんと?…嬉しい!」
「やはり女は金をかけないと、な。」
真澄はひとり、納得している。
「そんな…。あたしは、速水さんがあたしを好いてくれさえすれば、それだけで幸せだわ。」
「男が本心から注ぐ真実の愛情と、金をかけること。それがいい女の条件だ。」
マヤは合点がいかないように、小首を傾げている。
「金をかけて磨けば、こんなに綺麗になる。」
真澄はマヤに歩み寄ると、あたかも宝物のように、そっとマヤを抱き締めた。
「みんな速水さんのおかげだわ…あたし…幸せよ、とっても…」
真澄を見あげるマヤの微笑みは、裡なる喜びに満ちて、はんなりと美しく輝いた。

真澄には、そんなマヤが愛おしく、いじらしくてならず、思わず抱き締めた腕に、しぜん力がこもる。

真澄が初めて目にする、マヤの振り袖姿。
俄に真澄の内心で、欲情が高ぶった。
いや、マヤの振り袖姿を目にした瞬間から、欲情していた、と言っていい。

真澄はポケットからハンカチを取り出すと、マヤの口紅を拭いとり、かぶりをふって、深くマヤに口づけた。
口づけは、ふたりには途方もなく甘く、そして熱かった。


マヤの下腹に、真澄の昂ぶりが熱く硬く圧迫してくる。
マヤのくちびるを貪る真澄の呼吸が、荒い。
抱き締められて、真澄の心臓が早鐘のように脈打つのが、マヤには感じられた。
求められている……マヤには、それは甘い誘惑だった。
そして、いつか知らず、マヤも真澄に口づけで応えていた。
「ふ……」
マヤが甘い呻きを漏らす。
口づけたまま真澄はマヤの着物の裾を押し広げ、マヤの素肌に愛撫の手を伸ばした。
大腿の肌は肌理が詰んで、若々しい張りがあり、滑らかに真澄の指先を押し返す。
マヤが下着をつけていないのに気づいて、真澄は溜飲が下がる思いだ。
「ちゃんと脱いできたな。いい娘だ…。」
「速水さ、…あっ…」
口づけながら真澄は愛撫の指を、尻の双丘からマヤの躰の中心に進めた。
巧みに指先を蠢かす真澄の口づけを逃れて、マヤは真澄にしがみついた。
「あ…あ、ダメよ、速水さん…」
求められ、感じさせられ、マヤの躰はしごく敏感になっていく。
真澄は片腕でしっかりとマヤを抱き締め、片手でマヤの秘所に執拗に愛撫を繰り返した。
マヤの躰はじきに反応し、真澄の指先をたっぷりとマヤの泉が濡らした。
「あぁ…はやみ…さ、…ダメ…」
真澄はこの時とばかりにマヤを抱き上げると、ソファに運んだ。そして、後ろ向きに床に跪かせ、上体をソファに投げ出させた。
真澄はマヤの着物を尻の双丘が丸裸になるまで、広げて捲り上げた。
俗に言う「孔雀」という体位。
真澄は跪いてズボンのベルトを外すと、十分欲情した猛々しい己の高ぶりを引き出し、後ろからマヤの躰の入り口に、高ぶりを宛った。
「マヤ…!」
「速水さん…ああっ…!」
真澄は一息に、マヤを差し貫いた。
性急に、せわしなく、真澄は腰を突き上げながら、マヤの着物を脱がせていく。
帯留めを外し、帯の結びを解き、帯を剥ぎ取る。着物の紐も器用に解くと、真澄はすっかりマヤの振り袖を脱がしてしまった。
マヤの素肌に、触れたい。
真澄は気が急いて、肌襦袢の幾重もの紐も、些か手荒に解いていく。
そして、すっかりマヤの着物を脱ぎ散らかすと、自分もスーツの上着を脱ぎ捨て、ネクタイを緩めた。
ようよう全裸にされたマヤの乳房を、真澄は後ろから両手で揉みしだいた。
真澄の熱情に翻弄され、マヤは否やもなく、行為に没頭させられていった。
マヤの内部で、真澄が熱く、巨きい。
真澄はマヤの耳朶を甘噛みし、吐息を吹きかけ、頬に、髪を結い上げた首筋に、くちびるを這わす。
真澄が腰を突き上げるたび、マヤの簪が勢いよく揺れ、チリチリと幽かな音を立てた。
「あ…あ…はや、みさん…」
息を弾ませて、マヤの意識は真澄の情熱に、遥かに遠く、押し流されていく。
いつしか真澄も、動きに不自由なズボンを下着ごと脱ぎ捨てていた。
激情が、真澄の裡に逆巻いて渦巻く。
呼吸を荒げて、真澄はマヤを組み敷いた。
真澄の激しい行為に、マヤは夢中にさせられる。
しだいにマヤの官能も高まり、真澄に、より強い快楽をもたらした。
真澄はマヤの片脚を持ち上げると、互いの脚を交差させた。
より深い、結合。
マヤが熱い呻きをあげる。
火のような欲情のおもむくまま、真澄は存分にマヤを抱いた。
「あぁ…も…う、もう…だめ…」
ふたりともに、絶頂の時が近づいた。
「いくぞ…マヤ…!」
「はやみさん…あああっ…」
「くっ…!」
ふたり、同時に頂点に達した。
ぐったりとソファに身を投げ出したマヤに、真澄は名残の接吻を贈った。




 真澄は着衣を整えると、ソファのマヤに肌襦袢を着せかけてやった。
マヤはまだ、陶然と性の余韻に浸り込んでいる。
真澄はふっと笑って、ソファに腰を下ろした。
襦袢の上から、マヤの肩を愛撫してやる。
「速水さんたら…こんなところで…」
「ああ、きみの着物姿を見たら、我慢できなかった。」
ようやくマヤは、陶酔から冷めてきていた。
見回すと、あたりには脱ぎ散らかした着物が散乱している。
「…どうしよう、あたし、ひとりじゃ着物、着られない…。」
舞台では衣装部の担当が早変わりを受け持つし、ましてや今日は大振り袖である。とてもマヤの手に負えたものではない。
「そうか、それはまずいな…。」
「有能な秘書殿に着替えを買ってきてもらうとするか。」
言って、真澄は水城を呼びだした。
「そのグリーンの影にいるといい。」
真澄は襦袢を纏っただけのマヤに声をかけた。
マヤは言われた通り、室内樹の影に身を隠した。


 内線で水城が呼ばれ、鍵を外から開けて、水城が社長室に入ってきた。
「まあ…!」
水城は、とりあえずマヤがたたんだ着物と真澄と隠れたマヤを交互に見やって、鋭く言い放った。
「真澄さま、わたくし、申し上げましたでしょうに!」
「水城くんだから言うが、マヤの着物姿にすっかりあてられたんだよ。君なら判ってくれるだろう?」
「それは…お気持ちは十分お察ししますが…」
水城は渋面を作る。
「それでだな。簡単な洋服でいい。マヤの着替えを買ってきてくれないか。着付けまでは君は出来ないだろう?」
「ええええ。ようございますとも。承知いたしました。」
些か皮相な口調で、水城が答えた。
「領収書をお持ちしますわ。では、行って参ります。」
水城は、さっと踵を返した。
(まったく…真澄さまったら…。私が戻るまで、仕事にならないわね…。)
水城は内心呆れて、溜め息をついた。
駐車場から車を発進させると、水城は近場のデパートに向かった。


「洋服なら、髪をおろさなくっちゃ…」
マヤは簪と櫛を外し、結い上げた髪をほどいた。
「速水さん、ブラシ、ある?」
「ああ、そのクロゼットの鏡の脇だ。」
言われてクロゼットを開けると、真澄の仕立ての良い着替えがズラリと並び、マヤには壮観だった。
マヤは鏡を見ながら、ようやっと髪を整えた。
抱かれた後の、なんとも生気に満ちた自分の顔が、マヤには気恥ずかしかった。
「着物、皺にならないかしら?」
マヤには大事なお宝である。正式な着物のたたみかたは、マヤは知らない。
「こっちへおいで。」
真澄はソファに腰掛けて、マヤを呼んだ。
ソファで、真澄は襦袢姿のマヤの肩を抱き、長い髪を愛撫して軽く接吻した。
「マヤ…きみこそ、俺の宝だ。なにより大切な。」
「マヤのためになら、俺は地の果てまでだって飛んでいくぞ。」
「速水さん…。」
「俺が好きか?」
訊かれてマヤは、消え入りそうに恥じ入りながら答えた。
「ええ…愛しているわ…」
「俺もだ、マヤ、愛している…」
やさしく呼びかけると、真澄はしっかりとマヤを抱き締め、今度は深々と口づけた。



  30分ほどで水城が帰ってきた。
下着からブラウス、スカート、ストッキング、靴まで、ひと揃い、水城の手配はぬかりなかった。
社長室付きの化粧室でマヤが着替えている間、水城は着物を正式にたたんで、デパートの買い物袋に一式を整えた。
着替えて、マヤが出てきた。
真澄はデスクに着席していた。
「じゃあ、あたし、失礼します…。」
「あの…水城さん、ありがとう…。」
水城の目を上目遣いで見て、マヤは挨拶した。
「マヤちゃん、振り袖姿、もっと見たかったわ。」
そう言って、水城は真澄を軽く睨みつけた。
やれやれ、かなわんな、と、真澄は内心で舌を巻いた。




マヤはスタジオに戻るタクシーの中で、着替えをなんと言い訳しようか、焦って考えた。
誰の目にも触れず、楽屋に戻れるといいのだが。


 マヤの大振り袖から始まった、思わぬ戯れの刻は、こうして過ぎていった。






終わり






2002/7/6

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO